LA山火事、拡大原因の強風「地域によっては来週まで」 バイデン氏
米西部カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で続く大規模な山火事で、ロイター通信によると、9日時点で少なくとも10人が死亡し、建物約1万棟が被災した。米気象情報サービス「アキュウェザー」は、推計被害額について520億~570億ドル(約8・2兆~9兆円)に達するとの初期試算を公表。被害額で米史上有数の自然災害となりそうで、山火事としては最悪の被害額となる可能性がある。 【写真まとめ】山火事の中ほえる犬、燃えた街路樹や車 アキュウェザーによると、被害を受けた地域には不動産価値の高い住宅や企業が多く、一部地域の住宅の中央値は200万ドル(約3億1600万円)を超える。煙による健康被害や観光業への影響も懸念されている。映画製作の中心地ハリウッド近くの高級住宅街でも被害が広がっている。 バイデン米大統領は9日、関係閣僚らの会議を招集。火災が広がる原因となっている強風について「地域によっては来週まで続きそうだ」と述べ、鎮火まで時間がかかるとの見通しを示した。バイデン氏は消火活動を支援するため、連邦機関の30機以上の消防ヘリ・航空機、米軍のC130輸送機8機を派遣したと説明。今後180日間にわたって、一時避難施設、がれきの除去、消防当局の人件費などを連邦政府が全額負担することも表明した。 また、バイデン氏は、隣国のカナダから消防士や消防ヘリの派遣を受けたと明らかにした。トランプ次期大統領が「カナダ併合」を訴えて米加関係の悪化が懸念されているが、バイデン氏は危機対応のために隣国の助けを借りた形だ。 米メディアによると、山火事に乗じて略奪行為をしたとして、少なくとも20人が拘束された。地元当局は夜間外出禁止令の発令も検討している。 地元の有力紙ロサンゼルス・タイムズによると、今回の山火事で被災した住宅の多くは保険に加入していないという。米国では近年、ハリケーンや山火事など自然災害が多発し、保険会社は災害リスクの大きな地域で住宅保険の提供をやめる動きが出ている。 米海洋大気局(NOAA)などによれば、これまで米国で推定被害額が最も大きかった自然災害は2005年のハリケーン「カトリーナ」で2000億ドル。山火事では18年にカリフォルニア州で発生した災害の被害額が300億ドルで最悪だった。【ニューヨーク八田浩輔、ワシントン秋山信一】