「在韓米軍撤収」叫んだグレネル氏、トランプ政権の外交安保候補筆頭(1)
トランプ米政権2期目の人事が本格化する中、誰が外交・安全保障分野を率いるかに関心が集まっている。誰が国務長官と国家安全保障補佐官を引き受けるかによって対北朝鮮政策の大きな変化につながる可能性があるからだ。 トランプ氏は9日(現地時間)、SNSに「行政府にニッキー・ヘイリー元(国連)大使とマイク・ポンペオ元(国務)長官は呼ばない」とし、外交・安保分野の人事が進行していることを示唆した。特にトランプ氏が抜てき排除の意思を明らかにした2人は過去にトランプ氏と隔たりを露出したことがあり、2人の排除宣言は「忠誠派」で外交・安保ラインを構築するという意味と解釈される。 ◆筆頭候補は?…「私の策士」リチャード・グレネル氏 現在、外交安保分野トップ候補にはリチャード・グレネル元駐独米国大使、ロバート・オブライエン元国家安全保障補佐官が優先的に挙がっている。ダグ・バーガム・ノースダコタ州知事、マルコ・ルビオ上院議員、ビル・ハガティ上院議員も国務長官候補群に入った。 トランプ氏の「忠誠派起用」原則を適用する場合、「同盟国が安保費用を負担するべき」というトランプ氏の主張を強く後押ししてきたグレネル氏とオブライエン氏が先頭圏にいると評価される。特にトランプ氏が自ら「私の策士」と呼び、在韓米軍撤収などに公開的に言及したグレネル氏がトランプ政権2期目の外交・安保を総括するという見方が出ている。 ◆グレネル氏「簡単なこと、お金を出せばよい」 7月、グレネル氏は共和党全国大会が開かれたウィスコンシン州ミルウォーキーでの海外記者クラブブリーフィングで「トランプ氏の外交基調は同盟国およびパートナー国が費用を分担することだ」とし「正当な費用を支払う時(同盟の)力が強まる」と明らかにした。続いて「全世界の(会員制)クラブのうち会費を出さずに施設を使用できるところは一つもない」とし「簡単なことだ。請求書にお金を支払えばよい」と強調した。 トランプ氏が考える同盟は会費を出してこそ米国の「安保サービス」が提供され、会費を出さなければ会員の資格が剥奪されるという概念との説明だ。これに先立ちグレネル氏は3月、ポッドキャストに出演し、「戦争を避けたいのなら国務長官にXXXを置くのがよい」とし「強い国務長官が必要だ」と話した。そのグレネル氏に対してトランプ氏は何度か「偉大なファイター」という称賛を惜しまなかった。 ◆「在韓米軍撤収」発言の出発点 グレネル氏は2020年6月、英フィナンシャルタイムズ(FT)のインタビューで「(当時の)トランプ大統領が在韓米軍を撤収する計画を持っている」と明らかにし、波紋を呼んだ。米国の官僚のうち在韓米軍撤収の可能性に言及したのはグレネル氏が初めてだった。トランプ氏は退任後の2021年11月、ニューヨークタイムズのインタビューで「在任中に最も惜しまれる点」について「ドイツ車に関税をまともに賦課できなかった点、韓国から防衛費分担金50億ドルを受け取ることができなかった点」とし「ホワイトハウスに入って終える考え」と答えた。 グレネル氏はトランプ氏が重点を置くこの2件に関係している。グレネル氏は駐独大使就任直後、「欧州の右派を後押しする」という発言で内政干渉という批判を呼びながらもドイツに圧力を加えた。ドイツは国防費を国内総生産(GDP)の2%以上に増やすべきだと主張し、在独米軍の3分の1撤収方針を通知したのもグレネル氏だった。 そのグレネル氏が在韓米軍撤収の可能性に言及したのは意味深長だ。トランプ氏は今回の大統領選挙期間中、韓国をマネーマシン」と呼び、「私が大統領だったら韓国は年間100億ドル(約1兆5000億円)を(分担金として)支払っているだろう」と主張した。マーク・エスパー元国防長官の回顧録『聖なる誓い』には「トランプ氏が分担金交渉過程で在韓米軍全面撤収を主張し、ポンペオ氏が『2期目の優先順位にしよう』として提案して防いだ」という内容がある。当時トランプ氏を説得したポンペオ氏は2期目の人事対象から外れた。