「有吉弘行の脱法TV」企画・演出の原田和実 フジテレビ入社5年目が目指す「見たことのない番組作り」
――終わりの始まり、ですよね。と同時に、例えばYouTubeなど別のメディアで、テレビを脱構築するような企画をやるのではなく、テレビ局員として内側から揺さぶっていることに意義があるなと。
原田:僕はテレビでテレビをいじるからこそ、おもしろいと思っているんです。なんだかんだテレビは共通言語が最も多いメディアだと思うので、たとえテレビをまったく見ていない人でも、テレビってこういうもの、というイメージくらいは持っている。それこそコンプラが厳しくなっている、とか。個々人が抱くそのイメージの良し悪しとは別に、構造や文脈が共有されているって、ものすごいアドバンテージです。普段触れていない人にまで、そのイメージが知れ渡っていることが、テレビが最も優位性を発揮できるところだと思っていて、だからこそ、ふざけがいがあるんです。
結局最初のアイデアが一番おもしろかった、とならないために
――企画を考える上で、こういうことはやらないようにしている、というのはありますか?
原田:実体験で言うと、スタートの時点で「 純粋なエンタメとしてのおもしろさ」以外のことを目標として設定しない、ということですかね。「視聴率が取れそう」はもちろん、レギュラーとして継続できそうとか、マネタイズができそうとか、純粋なおもしろさ以外を初期段階で目標にすると、どうしてもコンテンツとしての爆発力に欠けたものになるし、直線的な企画になってしまうんですよね。余白を持って漂わせてこそ企画はおもしろくなっていくと思うので。
その上で、最初に思いついたことは曲げないようにしています。企画を番組として成立させる過程では、どうしてもロジックがうまくいかない部分が出てきたりするので、現実的な落とし所を探ることになるんですけど、そこで路線を変えてしまうと、結局最初のアイデアが一番おもしろかった、という結果になりがちなんです。
――本来は完成形が一番おもしろくなっていないといけないのに。