当選した自民党議員には女性天皇容認も少なくない 成城大教授・森暢平
自民党ではいま女性天皇と「女系」に反対する議員ばかりが目立っている。9月の総裁選立候補者を見ても、茂木敏充、小林鷹之、高市早苗、加藤勝信、林芳正が、女性天皇にも「女系」にも反対であると、今回の候補者アンケートに答える。 保守的思想に背く発言や行動を排除しようとする動きを「パトリオティック・コレクトネス」(愛国的矯正主義)と呼ぶことにしよう。保守派は、自陣営のなかに、少しでもリベラル要素がある人物がいると徹底して叩(たた)き、「保守」に封じ込めようとする。「反保守派」狩りである。石破茂、河野太郎が典型的なターゲットとなる。 しかし、それは、女性天皇には9割、「女系」にも8割台の支持がある世論調査の結果と大幅に異なる。その矛盾には自民党議員自身が気付いているはずだ。だからこそ、党内には「女系」に賛成する議員がいるし、世論に配慮する議員がいる。議員が民選である以上、それは健全なことだ。願わくはより多くの議員に民意の在(あ)り処(か)についてももっと気付いてほしいところだが……。(以下次号) ■もり・ようへい 成城大文芸学部教授。1964年生まれ。博士。毎日新聞で皇室などを担当。CNN日本語サイト編集長、琉球新報米国駐在を経て、2017年から現職。著書に『天皇家の財布』(新潮新書)、『天皇家の恋愛』(中公新書)など サンデー毎日12月8日号(11月26日発売)には、他にも「アベノミクス、安保法制、歴史認識… 徹底検証 安倍晋三とその時代」「朗報 新説 高齢になるほど幸せになる!」「客船クルーズ 空前のブーム到来!?」などの記事も掲載しています。