当選した自民党議員には女性天皇容認も少なくない 成城大教授・森暢平
◇「女系」賛成議員も5人 世論に配慮する議員も このなかで、例えば、長島昭久は強硬な旧宮家復帰論者である。一方、船田元は、「女系」を排除せず、継承の安定化につなげるべきだとし、旧宮家養子案については国民の賛同が得られるのかと懐疑的意見を述べている(今年4月30日のメールマガジン)。すなわち、「女性天皇」をどのくらい優先するのかについて、議員ごとに温度差はあるだろう。しかしながら、歴史上前例がある女性天皇については容認する自民党議員は少なくないのだ。 驚くべきことに、松島みどり(東京14区)▽伊藤忠彦(愛知8区)▽若山慎司(同10区)▽島田智明(大阪15区)▽広瀬建(大分2区)の5人は、女性天皇だけでなく、「女系」も容認している。さらに、神田潤一(青森2区)▽土屋品子(埼玉16区)▽鈴木馨祐(神奈川7区)▽堀内詔子(山梨2区)▽根本幸典(愛知15区)▽谷公一(兵庫5区)▽松本剛明(同11区)▽山口壮(同12区)▽山下貴司(岡山2区)▽村上誠一郎(四国)▽岩屋毅(大分3区)▽阿部俊子(九州)の12人は、女性天皇には明確に賛成で、「女系」への回答は保留している。場合によっては「女系」賛成もあると世論に配慮した回答と読むこともできる。 自民党は4月26日、「安定的な皇位継承の在り方に関する所見」を発表し、女性皇族が結婚して皇族身分を保持するとしても、当該女性皇族が天皇になる可能性には言及せず、その配偶者と子は皇族の身分としないとして、制度が「女系」継承へとつながることへの警戒をにじませた。 そもそもこの所見をまとめた自民党の皇位継承懇談会は、保守系団体「日本会議」と強いつながりを持つ中曽根弘文、衛藤晟一、山谷えり子、有村治子(いずれも参議院議員)をメンバーに入れ、党内保守派の意見が反映される構成となっていた。女性天皇と「女系」を排除し、旧宮家養子案を進めるための組織だった。 ◇反保守派狩りと愛国的矯正主義