試合が終了しガッツポーズを見せた新庄監督

「大航海」はこれからが本番だ。日本ハムは14日のロッテ戦（エスコン）に5―2で逆転勝ち。CSファーストステージの初戦に敗れながら連勝を飾り、2勝1敗で突破を決めた。大逆転を果たせたのも、新庄剛志監督（52）が持つ独特な〝勘ピューター〟のたまものだ。ソフトバンクとのファイナルステージ（16日開幕＝みずほペイペイ）では、もう何が飛び出すか分からない。 　終戦の崖っぷちからの2連勝で競り勝ったチーム周辺では、指揮官ならではの「感性」や「直感」に期待する声が高まっている。というのも、選手起用や采配が面白いように的中したからだ。 　中でも今季14勝を挙げ、リーグ最多勝に輝いたエース・伊藤をファーストステージで「温存」したことは顕著な例だろう。「負ければ終わり」の短期決戦では「いい投手」から先発させることが鉄則だ。実際、ロッテは1戦目から佐々木、小島、種市を投入してきた。 　ところが、新庄監督は違った。CSファイナルの戦いも見据えて加藤貴、2戦目には金村を抜てきし、この日は北山をマウンドに送った。今季の伊藤はソフトバンク戦で6戦4勝1敗、相手の本拠地では3戦2勝と無類の強さを誇り、あえてロッテ戦を回避。周囲やファンからは賛否の声が上がったが、指揮官は「絶対にファイナルに勝ち上がる」とかたくなに信じてエースを起用しなかった。こんな大胆な策を打てるのは球界でも新庄監督だけだろう。 　救援陣も同様だ。この日の先発・北山の投球が同点の5回途中から上ずり始めたことを察知し、迷わず守護神の田中正を投入。この継投策は当初、指揮官の頭にもなかったといい「こういう試合の継投、采配は誰もを喜ばせる、感動させる、というのも監督の仕事だから」と直感で動いた。 　3点リードの9回にベテラン左腕の宮西を抜てきしたのも、チームを鼓舞するため。勝利が決まった瞬間、宮西は涙を浮かべ、本拠地は爆発寸前の歓喜と興奮に包まれた。新庄監督は今後の選手起用などについて「もうそこは流れを見てね。だって今日の（救援陣の）継投で失敗してたら〝新庄アンチ〟はもうお祭り騒ぎだったと思うし（笑い）。まあ、それも嫌いじゃないけどね」と笑い飛ばしたが…。 　日に日に直感や感性が冴え渡り、精度まで高まっている〝新庄ミラクル〟。レギュラーシーズンを圧倒的な強さで制したソフトバンクにも大きな脅威となりそうだ。