「イチローが満票で殿堂入りしなければ…実際に国際問題へ発展する」と米大手メディア…ベーブ・ルースも達成できなかった“至難の業”だが
米野球殿堂は18日、2025年の殿堂入り候補者28人を発表。マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)ら14人が新たに候補入りした。投票結果は25年1月21日(日本時間22日)に米放送局MLBネットワークで発表される。 今回の注目は1点に尽きる。米大手メディアのジ・アスレチックは、今回の候補リストで注目すべき5点を挙げ、真っ先に「イチローが満票にならないことがあるだろうか」とのタイトルで論評した。 「投票するのはベーブ・ルース、ウィリー・メイズやハンク・アーロンさえも満票で殿堂入りさせなかったのと同じ連中だ。90年にもわたる全米野球記者協会(BBWAA)の記者による投票で、満票の選手はいまだにマリアーノ・リベラ(通算652セーブはメジャー記録)のみ。ほぼ1世紀で野手はゼロ? 恐るべき至難の業だ」 ルース氏は史上最高の人気を誇る通算714本塁打のスラッガー。『史上最強外野手』ことメイズ氏は通算660本塁打。アーロン氏は王貞治氏が抜くまで通算755本塁打の世界記録を保持していた。 他にも、前例として「昨年はエイドリアン・ベルトレが隠れた満票候補だったが19票も逃し、20年のデレク・ジーターは満票確実だったはずが、わずか1票足りず。16年のケン・グリフィーJr.も3票及ばなかった」と指摘した上で、イチロー氏の実績を紹介した。 「世界最高の2リーグ(日本プロ野球と大リーグ)で通算4367安打、太平洋を渡ったのは27歳だったのにメジャーで3089安打」 「10年連続200安打&ゴールドグラブ賞。イチロー以外は『5年連続』さえいない」 「打撃得点アバブ・アベレージ(BRAA)通算84、守備失点アバブ・アベレージ(FRAA)通算62。『BRAA80、かつFRAA50』は史上2人しかいない。イチローとウィリー・メイズのみだ」。BRAAは同じ打席数に立つメジャーの平均的な打者と比べた得点創出で、FRAAは同様の野手と比べた失点防止を表す指標。 「(01年に)新人王とMVPを同時受賞。これも史上2人のみ」。もう一人は1975年のフレッド・リン。 同メディアは「ということで、もしイチローに投票しないとすれば、どんな投票者がそれを説明できるのだ? 野球の世界的な象徴で、もう一度言うが、地球上で最高の2リーグで最多安打をマークした男だ。イチローが満票で殿堂入りしなければ、それは単に『恥』というだけではない。実際に国際問題へ発展するぞ」と、強い論調で締めた。 米野球殿堂は、原則としてメジャーで10年以上プレーし、引退から5年を経た選手から候補者を選出。全米野球記者協会(BBWAA)の記者が最多10名連記で投票し、得票率75%以上で当選する。 有資格は初年度から最長10年間だが、得票率5%未満の場合は、翌年以降の候補から外される。過去に日本選手で候補入りしたのは2人で、野茂英雄氏(14年の得票率1・1%)と松井秀喜氏(18年の得票率0・9%)。
中日スポーツ