キャスターの小倉智昭さんが死去 77歳 大橋巨泉さんにスカウトされフリーの道へ 五輪取材にも精力的
キャスターの小倉智昭(おぐら・ともあき)さんが9日午後、死去したことが10日、分かった。77歳だった。早口の甲高い声にと、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで人気だった。2021年に終了した長寿番組「とくダネ!」に出演中から病魔と闘い続けた。 小倉さんは2022年10月には都内で「シルク・ドゥ・ソレイユ」日本公演の発表会にスペシャルサポーターとして登場した。ややふっくらした顔で「サポーターは今回で9か10回目。すみませんね、同じ人ばかりがやって」といたずらぽい笑顔も。「5回は見てほしい」と熱弁をふるうなど元気な姿を見せていた。 晩年はがんとの日々だった。2016年に膀胱(ぼうこう)がんを公表。18年には、膀胱がんによる膀胱全摘出手術も行った。同局関係者によると、小倉さんは「他人のことは報じるくせに、自分のことは隠すのはおかしい」という信念のもと、経緯と術後の経過も番組でリポートした。21年10月には、がんが肺に転移。抗がん剤治療の様子も自ら会見で語っていた。 小倉さんは1947年5月、秋田県生まれ。独協大学卒業後に東京12チャンネル(現・テレビ東京)にアナウンサーとして入社。競馬番組の中継番組で活躍していた。 転機となったのが2016年に亡くなった大橋巨泉さん(享年82)との出会い。大橋さんにスカウトされて東京12チャネルを退社し、フリーアナウンサーとして大橋さんの事務所へ。競馬番組とともに、大橋さんがMCを務める人気クイズ番組「世界まるごとHOWマッチ」(TBS系)の早口ナレーションで一躍知名度を上げた。 司会者としても才能を発揮。情報番組「キャッチ」(日テレ系)、「ジョーダンじゃない!?」(フジテレビ系)、「どうーなっているの?!」(フジテレビ系)など立て続けにMCを務め、お茶の間に定着。そして代表番組へとつながっていく。 1999年4月、フジテレビで「情報プレゼンター とくダネ!」がスタート。長い間、フジテレビが苦戦していた時間枠だったものの、小倉の人気で徐々に視聴率を上げて10年以上の間トップに。番組は2021年3月まで継続。22年、5646回を数える長寿番組へ。同一司会者による全国ネット情報番組として最多回数となった。 好奇心旺盛な人柄で、40代で始めたゴルフの腕もシングル。60歳からドラムもたたくなど多趣味で知られた。 何事にも情熱的で五輪は00年のシドニーから多くの夏季五輪を現地取材。「とくダネ」終了後も、21年7月の東京五輪では聖火ランナーを務め、フジテレビのスペシャルキャスターに就任した。「シルク・ドゥ・ソレイユ」に対しても同様。「とくダネ!」出演時は金曜日の出演後にチェコへ。3日間を使ってプラハに4時間滞在して鑑賞。「きついね」と言いながら帰国し番組へ。エネルギッシュな人柄が愛された。
報知新聞社