【MotoGP】マルク・マルケス、豪雨被害のバレンシアGPは「倫理的に言えば、開催すべきではないと思う」
MotoGPマレーシアGPを控えた木曜日、グレシーニのマルク・マルケスはメディアとのミーティングにおいて、バレンシア地方を襲った豪雨および洪水の影響について語った。 【動画】MotoGP2024 第18戦タイGPハイライト|小椋藍がチャンピオンに 今季残り2戦となったMotoGP。今週末にはマレーシアGPが行なわれ、その2週間後に恒例のバレンシアGPでシーズンが幕を下ろす予定となっている。 しかし今、バレンシアは豪雨に見舞われたことで大きな被害を受けており、バレンシアGPが開催できるか不透明な状況となっている。MotoGP関係者によるとリカルド・トルモ・サーキット自体は洪水による大きな被害を受けていないようだが、少なくともアクセス道路のひとつに大きな被害が出ている。この地域では50人以上が死亡し、行方不明者も数多くいるという。そのためサーキットは、現在救急センターとして使用されている状態にある。 現地のインフラを修復することはおそらく可能な選択肢ではあるものの、大きなダメージを受けた現地の被災者支援や医療サービスに悪影響を及ぼすわけにはいかない。また、多くの人命が失われた大惨事の直後にレースを行なうことのモラルにも疑問符がつく。 MotoGPは水曜日に声明を発表し、「予定通りの日程でイベントを開催することにコミットしている」と述べ、現時点で被災者との連帯を強調したが、マルケスを含むライダーたちは木曜日のセパンでのメディアインタビューで明確な立場を示した。 マルケスは「スペイン人として、被害の映像や画像を見るのはとてもつらい」と語った。 「理論的には、3週間後にバレンシアでレースがあるが、今は家を失った家族を助けるためにすべてのリソースを使わなければならない」 「サーキット周辺が大きな被害を受けていることは知っているが、アクセスの修復にお金をかけるのは意味がない。リソースは人々を助けるために使われるべきだ」 「倫理的に言えば、バレンシアGPは開催すべきではないと思う。それは過ちになりうる。(開催を正当化する)筋が通る唯一の考えは、すべての収益が遺族に寄付されることだろう。本当に被害を受けた人たちを助けるために資金を集めることができるのであれば、それが唯一の論理的な選択肢だろう」 MotoGPがバレンシアのレースをどうするかについて、選択肢と代替案を評価するなか、マルケスは自分の立場としては中止すべきだと考えているようだ。 「今、彼らは会議を開いて決めなければならないが、僕だったらすでに決めているよ」 マルケスは、バレンシアGPが中止になったとしても、それがシーズン終了を意味するとは考えておらず、「どこかで別のレースをしなければならないだろう」と語った。 「今年はすでに2つのグランプリがキャンセルされている。今ここでチャンピオンシップを終えるなんてナンセンスだし、どこかでもう一度レースをしなければならないだろう。でも、年末のチームの状況も知っているし、財政的にそれは簡単なことではないんだ」 「まだ話すのには早すぎる。2日前に起こったことなんだ。僕たちはすべてを評価し、イベントのことではなく、人的要因から何がベストなのかを見極めなければならない。僕たちは、人々を助けるために何が最善かを考え、それに基づいて決断しなければならないんだ」 「僕はイベントがキャンセルになるとは言っていないし、背後にあるすべてのことを知る必要があるはずだ。でもバレンシアから送られてくる映像を見て、一人の人間として、すべての物的資源と時間、人手を人々を助けるために捧げたいと思う。今あそこに欠けているのは人の手なんだ」 目の前のマレーシアGPに向けて、マルケスは厳し目の評価を下しており、4位が目標になると付け加えた。 「(セパン・インターナショナル・サーキットは)歴史的に、僕にとって最も難しいサーキットのひとつだ。もし4位になれると言われたら、それに乗るだろうね」 バレンシアGPが引退レースとなる予定のアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)は「今は、レースをするためにバレンシアに行くことはそれほど重要なことではないと思う」と語った。 「施設の問題ではない。施設は修理できると思う。でも、病院や緊急事態(の人員配置)は、そこに行ってスポーツショーをすることよりも重要なんだ」 「もし僕たちが現地に行ってレースをすることができるのであれば、何とかして彼らの助けにならなければならないと思う」 「僕たちは様々な方法で対応できる。例えば、賞金を寄付するとか。あるいは、(MotoGPを運営する)ドルナが彼らを助ける方法を見つけることもできるだろう」 「とても難しい状況だ。ドルナとスペイン政府が正しい決断を下すことを願っている」 エスパルガロのチームメイトであるマーべリック・ビニャーレスは、レースをキャンセルすべきとまでは言わなかったが、道徳的な面に関してはエスパルガロの意見に同調した。 「マレーシアにいる以上、レースをする必要がある。でも心はバレンシアにあるよ」 「レースはさておき、家や人々を失った人たちのために祈っている。バレンシアでのレースは優先事項ではない」
Richard Asher