線路に立ち入った「撮り鉄」に9900円科料と停職処分 鉄道ファンの「行き過ぎ行為」どんな問題がある?
●「他人を思いやって撮影を楽しんでもらいたい」
――これ以外にも、鉄道ファンの行為が行き過ぎると、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか 「撮り鉄」は、撮影にあたって障害物がなく見通しよく列車の編成全体を構図に収めたい、列車の顔に影が入らないように光線状態を確保したいと考える傾向を持つ人が少なくありません。そのため、そういった希望を叶えるために、さまざまなトラブルがニュースになっています。 個別の事件については言及しませんが、主に ・場所のトラブル:入ってはいけない場所に立ち入ったり、場所を占領したりする ・物へのトラブル:邪魔なモノを撤去する ・人とのトラブル:構図に他人が入らないよう人を威嚇する といった行為が問題となっています。 まず、「場所」の問題については、私有地に入るのは住居侵入罪にあたる可能性がありますし、住居にあたらない土地からの退去を求められても応じなければ不退去罪になります(いずれも刑法130条、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)。 公道であっても撮影者が密集して往来ができなくなれば、往来妨害罪(刑法124条1項、2年以下の懲役または20万円以下の罰金)にあたる可能性があります。 次に「物」については、無断で木を伐採したり畑を踏み荒らしたりすれば器物損壊罪(刑法261条、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)になり、鉄道用地内のロープや柵などを一時的であっても撤去すれば業務妨害罪(刑法233条・234条、いずれも3年以下の懲役または50万円以下の罰金)にあたる可能性があります。 最後に「人」については、構図に入った人を強い言葉で威嚇したり、他の撮影者と撮影場所を取り合って罵声を浴びせたりするといった行為が問題視されており、その様子が動画サイトを通じて拡散されたケースもあります。 たとえば、他人に対して「殺すぞコラ」「どかないと殴るぞ」なんて言葉を発していた場合には脅迫罪(刑法222条、2年以下の懲役または30万円以下の罰金)や強要(223条、3年以下の懲役)に該当するため、刑事処罰を受ける可能性があります。