71歳で年収150万円…再雇用後に「包丁研ぎ職人」に転身したワケ
包丁研ぎ職人を目指して独立
再雇用を終えた後に選んだのは自営の仕事である。現在は自宅で包丁研ぎの店を営んでいる。再雇用の終了を機にかねてから興味を持っていた包丁研ぎの仕事へと、大胆なキャリアチェンジを図ったのは、シルバー人材センターで受けた講習がきっかけだった。刃物店が主催するスクールに2回ほど参加し、ほどなくして独立をする。 ハローワークで探したパートの仕事を挟み、いまでは包丁研ぎの仕事に専念している。週3日、自宅前に看板をかけ、ホームページも作った。 「包丁研ぎの仕事は誰にも雇われず、自分一人、やりたいようにできる、という点に魅力を感じていました。独立するまでは、依頼があればやるという形で、腕を磨きつつ、独立に備えていました」 「私はずっと仕事を理由に、地域でのサークルとか何も入ってないんですね。今ではシルバー(人材センター)に入って助かってますけど、当時は自分としてそれでやっていけるかどうかってところが自信がなかったんです。だから、毎日じゃなくても何か仕事には関わっていきたいなという部分があったんです。友達にはテニスとかダンスやったりマラソンやったりとかそういうのが好きな人はいるんですが、私はあまり得意なほうじゃないですし。なので、やっぱり一人でのんびりやっていける仕事がいいなと思って、包丁研ぎの仕事はそういう意味でも自分にはあってるのかなっちゅう部分がありますね」
仕事がない日の過ごし方
仕事がない日は、どのように過ごしているのだろうか。 「パートをやってたときは、パートに行ってないときに包丁研ぎをやってという感じで過ごしてました。今はそれなりにお客さんもついてきたので、パートの仕事は辞めてます。仕事がない日は持病があるもんですから通院にあてたり、あとはのんびり街中を歩くとか、遠出して買い物したりとか、そういうような形で時間を使ってますね」 事務仕事よりも現場に近い仕事をやりたいという気持ちは、畠中さんが持っている気質に加えて現在の体調からくるものも大きい。 「あまりパソコンに向かってやる仕事をずっとやりたくないんです。それこそもう目が疲れてしんどいので。50代ぐらいから、やっぱりパソコンがどう考えても大きな要因だとは思うんですが、目がつらいんです。もっと言うと、やる前から何か目が重いなとか、だるさを目の回りに感じるとかそういう変化を感じるようになって」 「意図的に、1時間に1回遠くを見るだとか、あるいは目薬を差したりとか。そういうルーティンでごまかしごまかしでやってる感じですけど。事務仕事が多い日になるともう午後になるとほんとにつらくなってきます」