「新潟の過疎地のスーパー」になぜ「ドンペリ」が並ぶのか?お客と売上を激増させた「意外な発想」
「成長する顧客」が売上を押し上げる
以前、ある大手食品メーカーの幹部候補生研修をお引き受けしたことがあります。その際、エスマートを研究対象にしたのですが、彼らの中で、次のポイントが話題となりました。 「なぜこの店は、多店舗化をしていないのに売上が上がっていくのか?」 彼らのビジネス感覚では、商圏人口に限りがあるのだから、他の場所にも出店して店舗を増やしていかなければ、会社全体の売上は上がっていかないはず。しかしこの会社は、1店舗のまま、ずっと売上を伸ばし続けている。それはなぜなのか、ということです。 もちろんその答えは「顧客の数」が増え、その顧客一人当たりの年間購入金額が年々増えていくから。なぜそれが起こるかと言えば、この店では先のワインのようなことが全ジャンルで起こっているからです。 この事実をこのメーカーでは、「成長する顧客」というキーワードで読み解きました。 一人ひとりの顧客が成長するからこそ、さまざまなもの、商品ジャンルの中の「より良いもの」を買うようになる。その結果として、年間に購入するボリュームが増え、店から見れば、顧客一人当たりの購入金額が増え続けていくのだと。 まさに「お客さんを育てる道」です。
小阪 裕司(オラクルひと・しくみ研究所 代表/博士(情報学))