電力自由化は国のエネルギー・環境政策の目標達成に貢献できる?
すでに自由化実施国でも試行錯誤している
この問題に直面した英国政府は、社会主義とやゆされながらも設備建設を支援する制度を導入しました。日本も自由化を行った後、発電設備の老朽化と閉鎖が現実問題として浮上してくれば新制度導入を考えざるを得なくなると思われます。その制度の費用は結局電気料金で負担するしかないでしょう。 電力自由化を行った主要国でも、まだどのような制度が有効に機能するか試行錯誤が続いています。州が電力事業を管轄している米国では、自由化による料金上昇と供給の不安定化を懸念し、自由化を一旦開始したものの中断した州も出ました。社会インフラ設備を自由化することにより価格を下げ、同時に安定供給を実現するというのは難しい課題です。日本でも試行錯誤が続く可能性もありそうです。(完) <NPO法人国際環境経済研究所・所長(常葉大学経営学部教授) 山本隆三>