「がんばろう北陸!つながる富山と石川 復興応援ライド」 自転車が深める北陸の絆
中能登町ではあたたかい出迎え、地域との交流の場となった
45km地点にある道の駅 織姫の里なかのとにたどり着くと、地元産のお弁当をいただいた。この道の駅はツール・ド・のとでもエイドとして使われ、サイクリストにとっても思い出の地だという。道の駅では休日のため復興市が開催されて、金沢はじめ各地からの観光客を集めにぎわっていたが、ここで買い物をすることが地域復興の力にもなる。
一青妙さんが第二の故郷、中能登町で想いを語る
ライドの目的の一つに中能登町での義援金贈呈式が行われ。食事を済ませると一青妙団長から中能登町長へ、参加者から集められた義援金が手渡された。 「富山県、石川県の能登の方たちにお声掛けした時に、本当にどれぐらいの人が来てくれるんだろうと思ったんですが、蓋を開けてみたら、石川県の人たちの数が一番多く、みなさんの勇気に私は本当に励まされました。今日この場で自転車を通じて知り合った仲間たちとの再会、そして皆さんも今回のこのイベントを通して、かつての仲間と一緒に走った。そういう日常を取り戻そうという勇気をもらえた時間だったんじゃないかなと思います。いろんな形で私の方に寄せられたその気持ちを今日は自転車に乗って背負いながらここまで運んできましたので、お渡ししたいと思います。」とあいさつをした一青さんの目には涙が浮かんでいた。 この温かい贈呈式は、復興への思いを共有する象徴的な場面となった。 いっぽう義援金を受取った中能登町の宮下為幸町長によると約6、600世帯のうち半数が被災したという。「ぜひ中能登町まで来ていただきたいと思います。どうもありがとうございました」と参加者にお礼を述べた。
羽咋から峠を越え氷見へ、思い思いのフィニッシュ
ライドのクライマックスは石川県羽咋市から国道415号での熊無峠を超え、再び富山県氷見市へ戻る。当日は雨予報だったが、時折小雨の降るだけと奇跡的な天候に恵まれた。 思い思いに走った参加者は氷見市内を通り抜け、フィニッシュ地点の氷見魚市場へ向かった。
自転車を通して地域とつながることができた
氷見魚市場ではNHK取材のために参加していたうじきつよしさんがコメント。「起きていることはとんでもなく悲しいことだけど、みんなの気持ちを知ることができ、それも自転車乗りながらっていうのは素晴らしいことでした。ぜひまた一緒に走ってください」と締めくくった。 参加者からは、震災の苦難を乗り越えようとする地域の姿に感銘を受けたという声が多く聞かれた。自転車に乗ることで、復興への願いを実感したという参加者もいた。そして一青妙団長は「大好きな能登を、大好きな自転車で、大好きな仲間たちと走って元気を届けたい」と語り、参加者全員の笑顔と勇気に感謝の意を表した。 「がんばろう北陸! つながる富山と石川 復興応援ライド」は、単なるサイクリングイベントではない。震災の記憶を風化させることなく、地域の絆を深め、ともに前を向いて進んでいく決意の表れなのだ。参加者一人一人が、このライドで得た経験と思いを胸に、これからも復興への支援を続けていくことだろう。
Bicycle Club編集部