時速194キロで死亡事故は「危険運転」と認定、懲役8年判決
大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員＝当時（50）＝を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反（危険運転致死）罪に問われた男性被告（23）＝事故当時（19）＝の裁判員裁判の判決公判が28日、大分地裁で開かれた。辛島靖崇裁判長は、危険運転致死罪の成立を認め、懲役8年（求刑懲役12年）を言い渡した。 【写真】事故で亡くなった小柳憲さんの遺影を前に記者会見する姉 弁護側は、同法違反の過失致死罪の適用を訴えており、危険運転致死罪が成立するか否かが争点だった。過去には、時速100キロを超える死亡事故でも「過失」と判断された事例もあり、大分地検も当初、被告を過失致死罪で起訴。遺族の署名活動などを受け、危険運転致死罪に訴因変更を請求し、認められていた。 公判で検察側は、時速194キロで走行した場合、道路の凹凸などにより運転操作ミスで進路を逸脱する可能性があり、制御困難だったと指摘。交通量調査から右折車を想定できる道路だとし、妨害目的が成立するとも主張した。 対する弁護側は車線に沿って直進できており、高速度類型は適用されないと反論。事故で被告自身も重傷を負ったとし、けがをしてまで妨害しようとする積極的な意図はなかったと訴えた。 危険運転致死罪を巡っては法改正に向けた議論も進んでいるが、事故で死亡した小柳憲さんの姉、長（おさ）文恵さん（58）は判決前、産経新聞の取材に「194キロの運転は『危険』だったと当たり前のことを認めてほしい。裁判所は今のままの法律でも危険運転と認めてくれると信じている」と話していた。 起訴状によると、3年2月9日午後11時ごろ、上限が法定速度の時速60キロと定められた大分県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。右折車に衝突して、小柳さんを死亡させたとしている。
