飲酒運転を減らせ タクシー配車アプリで運転代行も開始 福岡
タクシー配車アプリ「DiDiモビリティジャパン」(東京)が、福岡都市圏の8市7町でアプリでの運転代行の配車サービスを始めた。これまで利用者が複数の業者に何度も電話をかけたり長時間待たされたりすることが常態化していたが、アプリを使えば出発地や目的地を入力するだけで近くを走る運転代行の運転手と簡単にマッチングされる。同社はこのサービスを通じて、飲酒運転の数を減らしたい狙いもある。 福岡都市圏は国内有数の運転代行業者の多さで、福岡市内だけで約80社、春日市や大野城市など近隣を含めると約130社にのぼる。しかし、ピーク時は1時間を超えるなど待ち時間の長さが課題だった。利用者が代行の利用を断念して車を駐車したまま別の交通手段で帰るケースもあるといい、新型コロナウイルス禍の影響による代行の運転手、車両数の減少も拍車をかけた。 新サービスは、既存のタクシー配車アプリを使い、複数の業者の中から最も近くにいる代行業者が配車される仕組み。料金は事前に表示され、クレジットカードや「PayPay(ペイペイ)」などのキャッシュレス決済で支払う。 同社が3月からサービスを導入した沖縄県では平均約7分で代行業者が到着しており、同社の宮脇竜一郎営業本部長は「沖縄の平均7分の待ち時間と同程度を福岡都市圏でも目指したい」と話す。 アプリには約30社の業者が加入した。業者側にもメリットがある。配車までの電話待ちや送った後に目的地からの帰路で空車時間を減らせるなど、業務の効率化が見込まれ、飲食店などに利用を求める営業も不要になるという。那珂川市の「Gラビット運転代行」の重谷義明社長は「今まで運転代行を使ったことがなかった若い世代にもアプリを通して身近に感じてもらえる。受注が増えれば業界全体の発展にもつながる」と期待している。 県警の統計によれば、2024年9月末現在での県内の飲酒運転による交通事故数と検挙数は増加傾向にある。県警交通企画課の山本幸(ゆき)統括管理官は「飲酒運転を防ぐためにも運転代行は必要な存在。多くの人に適正かつ利便性を持って利用してほしい」と呼びかけた。【長岡健太郎】