友人の夫は外科医ですが、激務で「1週間に1回」帰れたらいいみたいです。「意外と余裕ないよ」とのことですが、忙しくても“高収入”ではないのでしょうか?
外科医の収入は高い?
少し古いデータですが、労働政策研究・研修機構が出している2012年の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、外科医の平均年収は1374万2000円です。脳神経外科、産科・婦人科に次ぐ報酬規模で、一般的には医師の中でも高収入を得ていることが分かります。 ただ、収入は科ごとにはっきり決められているわけではなく、勤務先の経営形態や実態、医師の数などによって大きく異なることもあります。金額だけ見ると外科医は高収入ですが、長時間労働、医療事故や訴訟などのリスク、勤務時間外に呼び出しをうけることも多いことなどを総合的に考慮して「費用対効果が見合わない」と判断する人もいるかもしれません。 「激務でも年収1000万円以上あるならお金持ちでは?」と考える人もいるかもしれませんが、実際の生活を考えるうえでは手取り金額をみる必要があります。一般的に公表されている収入金額は額面であることも多く、実際は所得税や住民税、社会保険料などが控除されます。 以下の条件で手取り収入を計算してみましょう。 ・東京都在住 ・30代(介護保険料負担なし) ・月収110万円(年収1320万円)でボーナス(賞与)なし ・控除される内容は基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除のみ(ふるさと納税や医療費控除などは考慮しない) 月収110万円の場合、健康保険料は年間65万2692円、厚生年金保険料は年間71万3700円です。給与所得控除を引いた分を課税所得額とすると年間1125万円となります。 所得税は基礎控除48万円を差し引いた1077万円に対して課され、税率33%、控除額153万6000円で税額は201万8100円です。住民税は課税所得額から基礎控除43万円を差し引いた1082万円に対して課されます。住民税は原則「課税金額×10%+均等割5000円」で計算され、税額は108万7000円となります。 所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料を差し引くと年収1320万円の場合の手取り収入は「約873万円」です。 日本は累進課税制度が採用されているため、年収が高くなるほど税負担は重くなる傾向があります。控除される金額は実際の勤務状況や加入する健康保険組合、居住地などによって変わるため、同じ年収でも手取り金額が異なることも少なくありません。 今回は外科医の夫の収入のみで計算しています。そのため、妻も働いていて収入がある場合などでは世帯年収が増えて手取り金額が変わることもあります。