製品を「社内製造」している「メーカー」よりも「総合商社」の方が高収入なのはなぜですか? 社内製造なら、仕入れのマージンは少ないと思うのですが…。
メーカーや総合商社といえば、どちらも商品を販売している企業です。メーカーは自社で作った商品を販売し、総合商社は製造以外の業務を代行して収益を得ています。 同じような仕事ですが、年収を比較すると総合商社の方が多いイメージをもつ方もいるでしょう。本来であれば、自社製品のあるメーカーのほうが収益を得やすいように感じますが、なぜなのでしょうか? そこで今回は、メーカーと総合商社の違いや年収・総合商社の年収が高い理由について解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
メーカーと総合商社の違いとは
身の回りにあふれるさまざまな製品を生産・販売している企業が「メーカー」です。製造業と呼ばれることもあります。メーカーといってもさまざまな業種があり、国内でもとくに利益の多い業種が「自動車」「化学」「情報通信機械」などです。 総合商社とは、メーカー同様に製品を販売しますが、販売するのは自社製品ではありません。取引先企業の製品を中間業者として販売代行などをします。「総合」商社というだけに、その内容は多岐にわたります。さらに近年は事業投資を行うことで、利益を得る商社もあるようです。 ■メーカーの年収 実際にメーカーと総合商社の年収を比較してみましょう。厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査を基に、メーカーは、企業規模10人以上の会社で、国内でも盛んな「自動車(輸送用機械器具製造業)」「化学」「情報通信機械」の製造業の給与と推定年収をご紹介します(表1)。 表1
※e-Stat政府統計の総合窓口「令和4年賃金構造基本統計調査 E製造業」を基に筆者作成 なお、国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査によると、国内の給与所得者全体の平均給与は458万円です。どの職種も平均給与額を上回っていますが、とくに情報通信系は1.5倍近い年収となっています。 ■総合商社の年収 次に総合商社の年収を確認しましょう。同じように厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査から「卸売業、小売業」内の「各種商品卸売業」を基に年収を計算したものが表2です。厳密には、総合商社は卸売業とは若干異なりますが、分類上、総合商社の含まれている「各種商品卸売業」でご紹介します。 表2