プレッシャーだらけの世界で「CEOが成功を続ける」ための4つの習慣
経営幹部、特に最高経営責任者(CEO)へのプレッシャーが強まっており、衰える兆しもないのは周知の事実だ。CEOは、会社の顔として企業文化を形成し、企業の価値観を代表し、結果を出すことを使命としている。期待値が高まり、経営改善への忍耐が短くなるなか、その役割に対して求められることは増えている。企業が苦境に立たされると、一般的には、影響を受けるのは従業員だけと思われがちだ。しかし実際には、CEOも影響を受ける。 ロイターによると、激動の時代において取締役会が迅速に軌道修正をしようとするなかで、特に小売業や消費財業界では、CEOの在任期間が短くなっているという。2003年にフォーチュン500に入っていた企業のCEOを見ると、現在は半数以上が存在しない。S&P500では、さらに厳しい数字となっている。 調査会社Equilar(イクイラー)の調査によると、CEO在任期間の中央値は、2013年は6年だったものが2022年には4.8年になっており、20%短くなっている。S&P500種株価指数に採用されている企業のCEOのうち40%近くの任期は1年~5年で、5年~10年の任期は28%にすぎない。 トップとして経営をリードし、短期化する平均在任期間よりも長く続けることを決意したCEOのために、見落とされがちな4つの心構えを紹介しよう。戦術的な調整にとどまらず、本質的な意味で在任期間を延ばすのに役立つはずだ。 ■1. 自分は「アスリート」だと考える 会社を経営するためにプロのアスリートになる必要はない。だが、CEOは実際には、ビジネスという究極のスポーツをやっている。ただし、アスリートの多くのキャリアが5年~10年であるのに対し、CEOやビジネスリーダーのキャリアは数十年に及ぶ。 役割を果たそうとするCEOは、しばしば業務提携や人間関係の構築に力を注ぐが、個人のウェルビーイングをないがしろにすることはできない。クリアな頭で冷静に戦略的決断を下すこと以上に、CEOの役割として避けられない困難や挫折を乗り越えるためには、回復力(レジリエンス)が不可欠だ。 最適なパフォーマンスを発揮しようとするアスリートがトレーニングと回復を優先するように、CEOも、最適なエグゼクティブ・パフォーマンスを発揮するために、心身の健康を維持しなければならない。Challenger, Gray, & Christmas(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス)は、2024年第1四半期には記録破りの622人のCEOが辞めたと報告している。 ストレスは仕事の一部だが、定期的な健康診断、定期的な運動、十分な休養、強固な人間関係の維持は、身体的・精神的・感情的なウェルビーイングを保つのに不可欠な緩衝材となる。CEOはアスリートと同様に、オフィスであれ外出中であれ、健康管理に細心の注意を払わなければならない。 ■2. 自分を見失わない CEOであることで、名声と特権を得られるが、同時に大きなプレッシャーを受け、監視の目にさらされるほか、しばしば個人やその家族に影響を与える難しい決断を下す必要性も伴う。 外から見れば、高い給与や、プライベートジェットでの移動といった福利厚生が目につくが、強烈な孤独感や、絶え間ない熟考、責任の重さを他人が垣間見ることはほとんどない。 CEOの実に55%が、過去1年間にメンタルヘルス上の問題に直面しており、肩書きや役職に関係なく燃え尽き症候群が起こり得ることが浮き彫りになっている。 CEOの在任期間を脅かす最大の要因でありながら、これまでほとんど議論されていないことの一つは、身体的・メンタル的・感情的・精神的な面で、その仕事が個人のウェルビーイング全般に与える影響だ。メンタルヘルスを健康に保ち、燃え尽き症候群を回避するためには、その役割に、自身のアイデンティティすべてを奪われないことが大切だ。 あなたは、ビジネスリーダーであるだけでなく、誰かの配偶者であり、親であり、友人であり、他にも数多くの側面がある。仕事以外の趣味や興味を維持することは、地に足をつけ、充実感を感じ、自分らしさを維持するために不可欠だ。