【トランプ氏圧勝に上院奪還】分断と憎悪が激化“米国至上で警戒感”政権の不確実性は
All Nippon NewsNetwork(ANN)
11月5日に投開票された米大統領選は、共和党候補のトランプ前大統領(78)が勝利した。トランプ氏は6日未明、フロリダ州ウェスト・パームビーチで、歓喜する聴衆に対して、「米国は、我々に前例のない強力な権限を与えてくれた」と語りかけた。民主党政権下での政治、経済等の不満を背景に、共和党は上院で過半数の獲得を決めた。下院でも多数派維持の可能性が強まっており、共和党が大統領と連邦上下両院の多数派を独占する「トリプル・レッド」となる公算が大きい。司法においては、トランプ前政権下で保守に傾斜した連邦最高裁判事の構成が、今後も長く継続する可能性が指摘されている。原則、最高裁判事は、任期期限がなく、終身制となっている。判事の構成が保守派6人、リベラル派3人と偏りを見せており、この判事構成がバイデン政権に立ちはだかっていた。 大統領2期目を迎えるトランプ氏にとって、喫緊の課題は移民対策で、不法移民の大量強制送還命令が実際に発出される公算が大きい。不法移民対策はトランプ氏の公約の目玉であり、今回の選挙活動中、不法移民1100万人の大量強制送還を繰り返し主張してきた。また、トランプ氏は、バイデン政権時に無効化された第1次トランプ政権が発出した大統領令を復活させ、数千人の連邦政府職員の再分類を実施したうえで、大量に職員を解雇する見方もある。トランプ氏は、バイデン政権が進めた気候変動対策を真っ向から否定する。乗用車などの排ガスを規制する環境保護局に対して、現行規定の見直しを指示する可能性が指摘されている。 トランプ氏を巡る2件の連邦法違反事件について、司法省が起訴を取り下げる動きが出てきていることが、複数の現地メディアが報じた。現職大統領を刑事訴追しない同省の指針に基づく判断とされている。検討対象の2件は、トランプ氏が起訴された4件のうち、2020年大統領選の敗北を覆す目的で、連邦議会占拠につながった事件、機密文書を自宅で違法に保管していたとされる事件。今後の焦点は、トランプ氏が大統領に就任しても、恩赦権限は及ばない残る2件の州法違反事件。このうち不倫の口止め料を不正に処理したとされるニューヨーク州の事件では、トランプ氏は5月に有罪評決を受け、11月26日に量刑の言い渡しが予定されている。さらに、2020年の大統領選で、南部ジョージア州の投票結果を覆そうとした選挙介入事件。州法違反となる2事件について、大統領任期中に法的責任を問われる公算は小さい。トランプ氏は、「大統領に返り咲けば議会襲撃事件で有罪となり服役している支持者らに恩赦を与える」とも発言し、物議を醸した。米政治専門メディア「ポリティコ」は6日、トランプ氏が起訴された2021年の議会襲撃事件と機密文書持ち出し事件を担当するジャック・スミス特別検察官について、トランプ氏は今年10月、大統領選で勝利した場合、「就任から2秒でクビにする」と発言していたことを報じた。 トランプ米前大統領は6日、2024年大統領選挙キャンペーンの参謀の1人であるスーザン・ワイルズ氏を、大統領首席補佐官に起用すると発表した。女性の首席補佐官は史上初となる。ワイルズ氏は、2016年、2020年の大統領選における選挙戦略担当として陣営に尽くした。トランプ氏は、「タフで賢く、革新的であり、誰からも称賛され、尊敬されている」とワイルズ氏を評価した。ワイルズ氏は、一部報道で、黒船来航で有名なペリー提督の遠い親戚とも伝えられている。米主要メディアは、ワイルズ氏起用について好意的な評価を与えている。政治専門メディア「ポリティコ」は「米国で最も恐れられ、最も知られていない政治活動家」、ニュースサイト「ザ・ヒル」は、「共和党員の中で最も影響力を有する人物」などと絶賛した。 ★ゲスト:峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所)、津山恵子(在NYジャーナリスト) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)
テレビ朝日