強盗に狙われる家の特徴「お金がありそうな家」より危険な家とは?
● 放火をする犯人の心理状態 放火犯の動機とタイプ 放火は都市部で発生することが多く、その対象は半分弱が建物で、残りが車両や空き地、公園、ゴミ置き場などです。通常の火災が日中に起きるのが多いのに対して、放火は夜間に発生することが多く、とくに真夜中に発生する火災では、放火の割合が高くなります。また、単一の放火は住宅に対して行われることが多いのに対し、連続放火の場合はゴミ置き場や車両といった建物以外が狙われることが多くなります。 こうした放火犯は、さまざまな動機や行動のものが存在しており、大きく8つのタイプに分類することができます。このうちもっとも多いのは「うっぷん晴らしのための放火」で、とくに連続放火犯によく見られるタイプです。たとえば、神奈川県警科学捜査研究所の上野厚の調査では、連続放火犯の64.9%が動機として「不満の発散」を挙げており、放火をするとスカっとした」といった報告をするものが多いのが特徴です。 なお、子どもによる放火はこれとは別のタイプ分けがあり、火遊びなどの好奇心によるもの、家庭の問題や生活上のストレスが原因となるもの、非行行為のひとつとして火を放つもの、「学校に行きたくない」などの理由により火を放つもの、繰り返し放火を行う病理的なものの5つに分類されています。
●放火犯の分類 ○性的興奮を得るための放火 自分でつけた火を注視することによって、性的な快感を得るタイプ。マスターベーション直後に火をつけたくなるなどの性的逸脱がある。この種の性的逸脱を「ピロマニア」と呼ぶが、日本ではほとんど報告がない。 ○復讐のための放火 恨みのある相手に対する復讐として放火を行うタイプ。実際に人間関係のある人物への復讐だけでなく、「金持ち」や「学校」、「社会」などの抽象的なカテゴリーに対する復讐のために放火がなされる場合もある。 ○利得のための放火 火災保険金などを得ることを目的として放火を行う。 ○テロに関連した放火 政治的・宗教的なテロによる破壊活動として放火が使用されるもの。政府や政党の建物、警察、皇居、宗教施設、企業、他国の大使館や施設、外国人学校など、背景となる思想によって攻撃対象が決まり、爆発物が使用される場合も多い。 ○英雄志向による放火 自分で放火したあと、自ら消火し、警察や消防に連絡するなどして「ヒーロー」になることを目的としたタイプ。犯人の中には、消防官を志望している者や、すでに消防官である者、消防団に属している者もいる。 ○うっぷん晴らしのための放火 日常生活でのいらいらや不満を解消するために放火を行うタイプ。「復讐のための放火」と違い、不満の原因とはまったく関連のないものに放火を行うのが特徴。放火犯の中ではもっとも多いタイプで、とくに連続放火犯に多い。 ○犯罪組織と関連した放火 犯罪組織が脅しやトラブル介入のために放火をすることがあり、日本でも暴力団はこの種の放火をしばしば行う。 ○他の犯罪の隠蔽のための放火 横領や窃盗、殺人などの証拠を隠滅するために放火を行うタイプ。窃盗目的で住居に侵入したものの、十分な成果が得られなかった犯人が、証拠の隠滅とうっぷん晴らしを兼ねて現場に放火するというケースもある。
越智啓太