【『No No Girls』レポート#2】ちゃんみな「良くも悪くもみんなの運命の日になる」候補者たちのパフォーマンスがいよいよスタート!
“仲間を意識した”振り付けで団結力がキーになるCチーム
ちゃんみなと候補生たちは、限られた時間の中で密に関わっていく。歌唱法、呼吸法、マイクの持ち方など、歌とダンスを両立させるためのコツを伝授していくちゃんみな。各チームはそのアドバイスを取り入れながらさらに話し合いと練習を重ね、チームワークを高めていく……。 しかし、必ずしもはじめからすぐうまくいくわけではない。初日、Cチームには若干の不和が生じていた。 「今日、何曜日」「金曜日」「え、嘘でしょ!?」というたわいない会話で盛り上がるみんなの横で、その輪から距離を置こうとするメンバーがいる。 大手事務所で6年間契約生として活動していたASHAだ。金髪ストレートロングに、クールな強めメイクが印象的。低音ラップを得意としてきた。そんな彼女はまるで1分1秒も無駄にできないというように、歌詞カードをひたすら見つめて何かを考えている。 スタッフがあとから本人に話を聞くと「私語が多いなとは思いました」「別にリーダーとかって立場でもないから言い出せなかった自分もあれだけど……」と本音を漏らす。 ある時期から新しく出会う人たちと関わらなくなったという彼女は、この合宿でも殻にこもっている。見た目の印象で、性格が悪そう、機嫌が悪そうだと思われがちだったという。もうそれならそれでいい。いつからかそう考えるようになっていた。 Cチームには、声がかっこよくラップ志望のメンバーも多い。そんなチームの振り付けについて、ちゃんみなは「エモい感じ。細かい難しい動きを多くしてほしい」とオーダーしたという。担当振り付けのMiQaelは「自分たちの生きてる感じっていうか。若者のパワーだったり、仲間を意識して今回作っていて」とチームに説明する。互いに目を見合ったり、近寄って背中を押し合ったりと、チームワークが求められる振り付けが多いようだ。 しかし、ひとりメンバーと距離を置きながら練習するASHA。この団結しきれていない状況に、同じチームのMOMOKAは密かに焦りを感じていた。某オーディション番組の元練習生だった経験もあり、チームワークの重要性をよくわかっているのだろう。「ASHAちゃんが自分の世界の中にいるなっていうのは薄々感じてて、ちょっとヒヤヒヤするというか」とスタッフに不安をこぼす。 だが合宿最終日、ASHAの様子はガラッと変わっていた。 「ここひと息でいくのめちゃくちゃきついの」とMOMOKAが言えば、「まじ息足りんなと思ったらエッジに落としたほうがいい。息薄くしたら息が持つっていうか……」と実際に歌ってアドバイス。ほかのメンバーとも積極的に話し合うようになっていた。チームの一員になろうとする姿勢が伝わってくる。彼女は変わろうとしていた。 いったい何があったのか、スタッフはASHAに話を聞きに行く。ASHAは少し照れた表情で考えたあと、おそらく合宿初日が終わった後に母親から言われたことがきっかけだろうと話し始めた。「ここに来れてることにも感謝しないといけないし、自分がパフォーマンスを楽しめてないと何もうまくいかないよ」と言われたのだという。 ASHAの声は少し震え始める。そして「あんまりママはそういうこと自分に言わないから……」と言葉にすると涙がこぼれた。 「ママは……ずっと自分のことを応援してくれてたけど……もう(自分も)20歳だし、たぶん、うまくいかないのかなと思ってた部分もあったから……“違うことを見つけるのも自分のためだよ”っていう話をされたこともあったし……」 かつて所属していた事務所から「低音ラップは受けない」と言われていたASHA。契約生としての6年。自分が得意としてきたものにNoと突きつけられたようだった。個性を大事にすると言いながら、何も大事にしてくれない。夢に喜び、傷つき、苦しみながら、それでも夢を追うASHAの姿を、彼女の母親は誰よりも近くで見守っていたに違いない。 「だから、今回のオーディションになおさら気持ちが入ってる。ここで絶対つかんでいきたいし、ママにも恩返しできたよっていうのを見せたいしっていうのもあるので……」 ASHAはこぼれる涙を拭きながらオーディションへの決意を語った。 2泊3日の合宿はこうして終了。ちゃんみなやメンバーに教えてもらったことを持ち帰り、本番当日まで各自パフォーマンスを磨いていく。