思い出のホンダ「スーパーカブ50」がついに生産終了 最終モデルを購入したいが難しい?
限定生産のファイナルエディション、なんとか手に入れたいが……
高校生になったばかりの16才の誕生日に、バイクの免許を交付させたという根っからのバイク好きな僕(筆者:木下隆之)です。都合良く、祖父の家にはホンダ「スーパーカブ50」がありました。 【画像】超カッコいい! ホンダ「スーパーカブ50・Final Edition」を画像で見る(6枚)
ボディは陽に焼けていたし、錆もところどころに浮いていました。かなり使い込んだ感じだったけれど、手先が器用で機械モノには多少の知識があった祖父は、しっかりメインテナンスして、ことさら可愛がっていたように思います。 さらに都合か良いことに、「高校生がバイクに乗るなんて暴走族にでもなるつもりか!」と白い目で見られた時代なのに、父親も母親も、そして祖父も信頼してくれていたのか諦めていたのか、「スーパーカブ50」を快く貸し与えてくれました。 ライディングを習得させておけば、新聞配達だとか牛乳配りかナニか、家計の助けになるバイトにでも精を出してくれるだろうと勘違いしたに違いない。親の目の届かない学校では落第生でも、身内には良い顔をしておくものである。 かくして僕のバイクデビューは、「スーパーカブ50」ということになりました。 そんな「スーパーカブ50」が、1966年からの長い歴史にビリオドを打つことになりました。2025年11月から施行される新排ガス規制に適合させることが困難になったというのです。 ホンダの技術を駆使すれば、排気ガスを浄化させるのは可能だとしても致命的なパワーダウンは避けられないでしょう。ホンダには「スーパーカブC125」や「スーパーカブ110」があるから、わざわざ「50」に膨大な開発費をかけるのも財布が痛い。どうしてもというライダーはそちらをご贔屓に……というワケなのです。 ただ、日本の社会を支えてきた「スーパーカブ50」をひっそりと墓に埋めるのも忍びなく、ホンダは「スーパーカブ50ファイナルエディション」を限定発売することにしました。生産台数は、わずか2000台というから稀少性は高まります。 レーシングドライバーなどという物騒な仕事をしておきながら、50ccクラスのバイクが気になって仕方がないのです。自宅には「モンキー50」があります。ここはひとつ奮発して、最後の「スーパーカブ50」を購入しようかと企んでいるのです。 そうでもしないと、「スーパーカブ50」でこの世界に足を踏み込んだ僕の人生にけじめがつかないというものです。 ただし、わずか2000台だから当選する気にはなれません。以前「モンキー50」の50周年を記念した「くまモン仕様」の抽選にも漏れたほどクジ運が悪いのです。 50年もの歴史があり、これまで1億台も世界中に出回っているということは、僕のように「スーパーカブ50」でデビューしたライダーは腐るほどいるわけで、けじめがつかないなどと無理矢理に理由をこじつけて抽選に向かう人が山ほどいても不思議ではありません。宝クジより確率は低そうです。 そこで一計を案じ、家人に加え娘にも注文させようと企てました。家人はバイクに興味はないし、娘はまだ免許すら取得していません。しかし人間ではあるので、販売店も嫌とは言えないはず……これで当選確率は一気に3倍に膨れあがると心踊らせました。 もっとも、家人にこの妙案を伝えたところ、一刀の元に却下の憂き目にあいました。 「乗りもしない50シーシーが2台も家にあってどうするの?」と……。 「モンキー50」は後生大事に保管しており、購入してから12年になるのに走行距離はわずかに200kmです。床の間に飾っているわけでもなく、コレクションにしているわけでもなく、値上がりを待つつもりでもありません。ただ近所をテケテケ走っていただけなのです。 それでもバイクに無頓着な家人には「2台もあってどうするの?」なのです。娘も同様に、「30万円もするなら新しいiPhone買ってよ。そっちのほうが世界か広がるし」と急所をついてくる。 というワケで、当選確率3倍化計画は頓挫したのでした。 とはいえ諦めきれないので、とりあえず申し込みだけはするつもりです。投機目的でもなく、「モンキー50」を12年も所有しているほどの熱狂的「50シーシー」ファンであることを語れば、神様は手心を加えてくれるのではないかと祈っています。
木下隆之