【特集】「今から心臓マッサージのやり方を言うので、やってください!」“命の最前線”「消防管制室」で奮闘する『通信指令員』 中には救急車の出動を断らなければいけない場面も…求められる“集中力”と“判断力” SOSに応える24時間に密着
(薮内さん) 「木のおもちゃ屋さんです。こんな感じ」 (カメラマン) 「おっ、カメラ!すごい」 (薮内さん) 「思いがけないものを作って、思いがけない顔をしているのを見ることが楽しい(笑)」
中学生の時から続けている木工細工が、仕事を忘れられる束の間の時間。腕前は相当なもので、ツーリングができる木製の自転車までも作ってしまうほど。
薮内さんは高校を卒業してすぐ、希望していた消防局に配属。その後、消防隊や救急隊員として様々な現場を経験する中で、阪神・淡路大震災のすさまじい現場もくぐり抜けてきました。
(薮内さん) 「自分の思った通りに人を助けられなかったことが、すごくたくさんあります。心もへこたれるときがありますから、大勢の仲間に助けてもらった。自分は人を助けるけど、みんなに助けてもらっていた―そんな42年間です」
鳴り止まないSOSと真摯に向き合い、命を助ける『消防管制室』 ここは、“命の砦”であり、“命を救う最前線”―
-(通報者) -「コンビニの前におっちゃんが倒れていて。お酒を飲んでいるのかな。酔っぱらっているのかもわからへんけど、『複雑骨折や』と言って倒れているんです」 (通信指令員) 「お兄さんに、ケガをしているのか確認してもらえますか?」 -(通報者) -「『複雑骨折や』と言ってます」 (通信指令員) 「もう一回、確認して。酔っぱらっていたら、違うことを言うかもわからないから」 -(通報者) -「お兄さん、足、大丈夫?今は大丈夫?『大丈夫』と言っています」
(薮内さん) 「はい119番、神戸消防です。救急車ですか?火事ですか?」 この日の夜も、通報のコールが鳴り止むことはありません。 (薮内さん) 「男性・女性、どちらでしょう?」 -(通報者) -「女性です」 (薮内さん) 「一番、今ツラい症状は何ですか?」 -(通報者) -「もう意識がボーッとされていまして」 (薮内さん) 「その方、年齢は何歳?」 -(通報者) -「80歳です」 (薮内さん) 「今、救急車を出動させたんですけど、まず患者さんに呼びかけて、目を開けるか試してください」 -(通報者) -「目を開けられません」 (薮内さん) 「じゃあ、意識が全くないです。下あごを動かしながら、口を開けたり閉めたりするような、そんな口の動き・あごの動きはありますか?」 -(通報者) -「あごの動きはありますね」 (薮内さん) 「念のために心臓マッサージをしましょう。心臓が止まりかけのときに、そういう動きがありますから。一回やってみて、嫌がる仕草があれば、やめたらいいです。今、とりあえず30回、やってみてもらえますか?」 -(通報者) -「1・2・3・4・5・6・7・8…」 (薮内さん) 「どうですか?痛がるような顔つきがありますか?」 -(通報者) -「それは、ないです」 (薮内さん) 「なかったら続けてください。生きている方にやってもかまいませんから、今は。救急隊が1分で建物の下に着きます。救急隊が横に来るまで、続けておいてください」
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