大敗を背負った“カド番大関”松ヶ瀬隆弥が今シーズンのキーマンに「今年は勝負の一年」/麻雀・Mリーグ
例年プラスを持ち帰ってきた頼れる剛腕が、悩みに悩んだ。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」2023-24シーズンで、EX風林火山の松ヶ瀬隆弥(RMU)はレギュラーシーズン▲278.4で個人最下位、36位に沈んだ。シーズン中に変化が出たというMリーグのトレンドへの対応が遅れ、修正ができないままマイナスポイントが膨らんだ。そんな松ヶ瀬に藤沢晴信監督は「カド番大関」と呼び、キーマンに指名した。本人は「今年は勝負の一年」と歯を食いしばる。 【映像】松ヶ瀬隆弥、奇跡の役満・清老頭の大チャンス! ―昨期、レギュラーシーズンは大不振だった。自身で振り返ってどうだったか。 松ヶ瀬隆弥(以下、松ヶ瀬) 最初に結構、大きくマイナスしちゃったのが…。それを何とか取り返そうというので、焦りもあったと思います。あとMリーグの中でトレンドがちょっと変わってきているというところにアジャストするのが遅れたかな、というのが自分の中であります。昨シーズンが終わってから、今もずっと練習していますが、内容とかも新しい取り組みを増やしてやっているので。今年のシーズンは、何が何でも勝たなきゃいけないので、結果を出さなきゃいけないシーズンだと思っています。 ―トレンドが変わったというワードがあった。それは具体的にいつから? 松ヶ瀬 シーズン途中くらいからでしょうね、特にみんなが意識し出したのは。簡単に言うと、大きく分けると初年度の時と去年との一番大きな部分は、副露率の数字が5%くらい上がってきているんですよ。今は仕掛け主体。形テンも取りにいくし、降りない攻撃的な選手が増えてきているので。初年度だと副露率は相当低くてリーチ主体。スピードで負けている時はがっちり守って、みんな門前で勝負するような形だった。そのあたりのトレンドがだいぶ変わっていて、特にそれがシーズン途中から色濃く出始めた。そういった選手たちがポイントを持って有利に戦うようになってから、特に目立ち始めたのかな、と思いますね。 ―Mリーグはつい最近、始まったわけではない。同じルールでやってきた中で、急遽と言ったら変だが、あるタイミングでガラリと変わることが起きたということは、他のトレンドから来たことなのか。 松ヶ瀬 そもそもMリーガーは36人。1つのカテゴリーで考えると、少ない人数なんですよね。どのプロスポーツや競技の中でもたぶん、一番少ないんじゃないかな。だから、1人選手が変わるだけでトレンドが変わる可能性がある。特に去年、一昨年あたりに加入してきた選手がそっちの傾向が強かったと思っています。元々いた選手たちも自分の麻雀を活かしながら、それに対応する形が増えてきたというのが多いのかな、と思います。 ―まさに昨年はチームが増えて、入れ替えの選手も入った。チーム数が増えたこと以上に、人が多く入れ替わった。新しい風が吹いたところが大きかった。 松ヶ瀬 昔から麻雀は、トレンドが繰り返し来るんですよね。この周期がいつまで続くかは分かりませんが。去年はチーム数が増えて、人の入れ替えもあったので、特にそういうのが目立つようになったのかな、というのがあると思います。 ―今年、入れ替わった選手は2人。それで言うと、昨年ほどではないのか。それとも、2人が入るだけでも違ってくるのか。 松ヶ瀬 今年から入った2人というよりも、元々いた選手たちが大きく変えてくると思うんですよ、今年は特に。去年まではそういった打ち方、僕もそういうタイプの一人ですが。それで戦ってきた選手たちが結構、変えてくるんじゃないかな、と僕は思っています。それによって変わる選手が増えてくると、引っ張られるように、そういう流れになりやすいとは思います。 ―移り変わりというのは、それですぐアジャストできるのか。ちょっと時間がかかるのか。ご自身で分析すると、どちらのタイプか。 松ヶ瀬 僕はどちらかというと、すぐアジャストするタイプだったんですが、Mリーグの舞台がちょっと特殊なので。自分の麻雀を変えるのも怖かったですし。それまでの2年間が、成績が出ちゃっていましたから、そういうのに引っ張られて結局、対応が遅くなった感じにはなりますよね。 ―藤沢晴信監督は「今年は松ヶ瀬がキーマン。カド番大関」だと。2年連続のマイナスは厳しいという、叱咤激励の意味もあるのか。 松ヶ瀬 そういう風に自分でも思っていたので。元々、僕の場合は入り方もオーディションだから特殊だったし。結局、求められているのは結果だと思う。去年のキーマンは(二階堂)亜樹ちゃんで今年は僕ですが、そういう選手が活躍することでチームは勢い付くと思うし。去年で言うと、亜樹ちゃんが頑張ってくれていたので。それでファイナルシリーズに行けたということもあったので、「今年は自分が」という気持ちが強いですね。 ―亜樹選手に関しては、レギュラーシーズンはかなり苦しかったが、ポストシーズンに入ってからは頑張ったということで存在感があった。要所で頑張ってこそ、キーマンか 松ヶ瀬 もちろんそうなんですが、前もって「キーマンは誰です」と言われて、そのイメージが付くと、応援してくれるファンの方も盛り上がりやすいですし、チーム戦で戦っていく上で、分かりやすい構図が作れますよね。僕が勝つことによって、チーム全体が盛り上がって、ファンも盛り上がれば。 ―伝えられたのは、昨シーズンの閉幕式からと聞いている。 松ヶ瀬 そうなるのではないか、と自分でも思っていました。いつ言われても考えてはいるので。今年は勝負の一年だな、と実感させられました。だから僕的には言ってくれて、すごく良かったですね。 -今年の目標は。 松ヶ瀬 やっぱり+200ポイントですね。例年の目標に挙げている、個人のポイントが200ポイント。それにプラスアルファで、さらに上積みできると。チームとしては1つでも上に行きたいので。 ―スポンサーのロゴが増えてきた。増えたことでプレッシャーや燃えるのもがあるのか。 松ヶ瀬 チームとして応援してくれている企業さんが増えているということなので、それはすごく嬉しいこと。プレッシャーというよりは、できるだけ多くスポンサーに付いてくれた企業さんに喜んでもらえるような結果を残したいのと思います。それには麻雀で勝つだけ。麻雀で勝つことがスポンサーさんへの恩返しというか、責務を果たすところなのかな、と思っています。 ―スポンサー数は、チーム間で意識はあるのか。 松ヶ瀬 どちらかと言うと、僕はMリーグ全体と考えているので。今年は20前後のスポンサーが付いているチームが増えてくると思うので。初年度に関してはゼロなわけじゃないですか。それが、今は9チームあって、各チームにそのくらいのスポンサーが付いているとなると、徐々に徐々に浸透してきている。だから、「多いからどう」という意識はないですね。Mリーグとして盛り上がってきているな、という実感だけはあります。 ―ユニフォームのデザインが初年度に戻った意図は。 松ヶ瀬 デザイン的には去年も黒ベースでしたが、EXの文字が入っていて。初心に帰るというか、そういった気持ちも込められていますね。赤を基調にしているので。 ―アジャストする。でも、変えることが怖いと言っていた。怖い部分はどうやって克服したのか。 松ヶ瀬 練習しかないですよね、やはり。結局、すぐ変えるのはできますが、すぐ変えたことによる結果が怖いですよね。失敗すると、酷い目に合うのが目に見えているので。なので、積み重ねの練習をたくさんやって、自分で「大丈夫だな」と思えるように。Mリーグ以外の対局もいっぱいありますが、そういうところでも無理のないように取り入れて試してみたりとか、そういったこともやってきたので、結構、自信にはなったのかな、と。 ―チームはほぼ同年代。チームの中で一緒の練習をして、試すことはあるのか。 松ヶ瀬 もちろんチーム練習もやるので。チーム内でお互いに意見交換をし合ったりとか。あと、僕は個人的に他団体の方とよく練習もするので、例えば自分以外の感性を持ったような人たちの意見を聞くとか、そういったところでいろいろと調整していく感じになりますね。 ◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。 (ABEMA/麻雀チャンネルより)
ABEMA TIMES編集部