「トヨタバッテリー」始動、蓄電池PHV・EV向け拡大へ…トヨタ会長がかみしめた喜び
トヨタバッテリー(静岡県湖西市、岡田政道社長)が1日、始動した。前身のプライムアースEVエナジー(PEVE)がトヨタ自動車の完全子会社になり、社名を変更した。これまでハイブリッド車(HV)向け電池の量産を担ってきたが、今後はプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)向け電池などの供給に事業領域を拡大。トヨタの蓄電池事業の一翼を担う企業として存在意義を高める。 30でわかる「全固体電池」 トヨタバッテリーは同日、新居工場(静岡県湖西市)で「出発式」を実施。トヨタの豊田章男会長やトヨタバッテリーの岡田社長、従業員などが出席した。 静岡県湖西市は、トヨタグループの創始者の豊田佐吉氏が生まれ育った地。豊田会長は「トヨタの名を冠する企業がこの地にできるまでには、長年にわたる多くの人のさまざまな思いや協力があった」と喜びをかみしめた。トヨタバッテリーの岡田社長は「最も良い電池を本業として取り組むことは確実に進めながら、マルチパスウェイ(全方位戦略)に挑むトヨタを電池の力で楽にしたい」と事業の方針を語った。 トヨタバッテリーの6月時点におけるHV用電池の累計生産台数は車両ベースで約2500万台。国内の生産拠点には大森工場(静岡県湖西市)、境宿工場(同)、宮城工場(宮城県大和町)、新居工場がある。28年以降に福岡県苅田町で稼働する九州新工場では次世代EV用バッテリーも生産する予定だ。 新居工場ではHV向け電池などを担う第一工場が稼働済み。第二工場は25年9月にも生産を開始し、26年2月からはEV向け電池を製造する第三工場が稼働する計画で、第三工場の生産能力は年間8万台分を見込む。