【解説】小泉氏出馬へ 「小石河連合」の関係一変…どうなる自民党総裁選
■3人の実力を比較分析 現時点で優位なのは
鈴江キャスター 「この党員票と議員票で動向が違うというところもこの総裁選のポイントの1つでもありますが、今の時点で小泉さんと石破さん、河野さん、誰が優位に戦いを進め始めているというのは見えてきているんでしょうか?」 平本記者 「まだ選挙戦が長いので、誰が1番有利かというのを分析するにあたって、まず3人の実力を比較分析してみたいと思います。日本テレビ政治部が独自分析したチャートです。『経験』『刷新感』『議員支持』『世論支持』『外交力』の5つの要素で分析します」 「まず石破さんですが、幹事長や閣僚を何度もつとめ、経験が豊富です。一方で自民党議員の中には『石破さんだけはいやだ』という声が結構根強く、党内支持が弱いのが特徴です。ただ、このチャートにない重要な要素が1つあります。それは先ほどお話しした自民党員の支持です。取材していると多くの自民党議員が、『3人の中でも石破さんが党員票は最も獲得するだろう』と指摘していて、これが石破さんの強みです」 「河野さんはバランスがとれているのが特徴です。外務大臣、デジタル大臣などの閣僚経験。そして麻生派の支持も見込めて、議員の支持も一定程度、獲得しています。ただ、脱派閥の中で派閥の支援を受けていることが、議員の支持が今後、広がらない可能性があり、陣営には不安視する声もあります」 「そして、小泉さんです。小泉さんの最大の強みは、43歳という若さと高い知名度からくる『刷新感』です。一方で弱点は閣僚経験は環境大臣だけで経験不足という点です。小泉さんは今後、論戦を通じてこうした不安要素などの指摘にどう反論し、払拭(ふっしょく)して、チャートの図をどう上に伸ばしていけるかが重要になっていくとみています」
■支持層のかぶりと安倍派との関係で焦り?
鈴江キャスター 「その小泉さんですが、3つめの疑問、どんなことに焦っているんでしょうか?」 平本記者 「焦っている点はいくつかあると思います。19日に出馬表明した小林鷹之さんと小泉さんの戦略がまず対照的な点です。小林さんは低い知名度をあげるため長い選挙戦をフル活用して誰よりも先に手をあげて『先手必勝』を狙っています。一方、小泉さんはじっくり戦う戦略を今回とっています。その中で『想定外』の焦りが出てきているようです」 「具体的には支持層の『かぶり』です。20日、自民党のある1回生議員に取材するとこう言っていました。『小泉さんにもお世話になっているけれども、先に小林さんから応援してくれと言われたので、今回は小林陣営でいきます』と話していました。実は、こういった議員が今回、結構いるようです。小林さん、小泉さんには刷新感を重要視する中堅若手議員を中心に期待が高まっていますが、先に小林さんが態度を決めて手を上げたことで小泉さんの支持層が流れている面があるわけです」 「もう1つの焦りは『安倍派』との関係です。今でも安倍派に影響力を持つ森元首相が小泉さんを推していると森元首相に近い議員が話しています。森元首相が安倍派のベテラン議員に対して支援するよう働きかけているという話も聞きます。こういった動きに対して小泉陣営の中には『安倍派の色が出ると裏金事件と結びついて刷新感がなくなってしまう』と心配する声があります。小泉さんは出馬表明のタイミングを模索していますが、こうしたネガティブポイントもどう払拭していくかも頭を悩ませているとみられます」