あおぞら銀行の株主総会が物語る「高配当」の減配リスク、株主は次々と非難の声を発した
批判の矛先は下方修正の発表時期にも向けられた。別の株主は「権利確定後に無配になるのは完全に予想外」と指摘。第3四半期配当の権利確定日は昨年末だ。下方修正を発表した1月末は配当が支払われる直前の時期に当たり、株主の衝撃は大きかった。総会では「役員報酬をカットして、配当に充てるべきだ」という声まで上がった。 高配当で知られるあおぞら銀行には、今年から始まった新NISAの成長投資枠を活用した個人投資家も少なくなかった。だが、1月末の下方修正により、株価はそれまでの3000円台から一時2000円近くまで下落。現在も2600円前後で推移する。
総会では、株主から「損益通算できないまま成長投資枠を消費する。(下方修正を)もっと早く発表していたら、購入の判断材料になった」という声もあった。 大見社長は「東京証券取引所の適時開示ルールに基づき(損益が)確定した段階で公表した」と説明する一方、「アメリカのオフィス向けローンを引き当てるタイミングが遅くなってしまった」とも認めた。 ■配当額はまだ病み上がり 不動産向け融資の引き当てや有価証券のロスカットを断行したあおぞら銀行だが、2025年3月期も「病み上がり」の状況だ。純利益は180億円と黒字に転換する見込みだが、肝心の配当は76円と過去の実績と比べて半分程度の水準。高配当株として名誉挽回を果たすには、まだ時間を要する。
取締役9人の人事案はほとんどの候補者が9割超の賛成票を獲得したが、還元に対する株主の不満はくすぶる。株主総会での一幕は、高配当株の宿命である「減配リスク」を改めて浮き彫りにした。
一井 純 :東洋経済 記者