【致死率30%】人食いバクテリア「劇症型溶連菌」 進行速く48時間以内に死亡するケースも… 患者数は6月時点で過去最多を更新
溶連菌というと子どもの病気というイメージが強いですが、侮ってはいけません。致死率は約30%。恐ろしい感染症「劇症型溶連菌」が過去最多のペースで増え続けています。 【動画】人食いバクテリア” 愛知が全国2番目の患者数
手足の壊死などを引き起こす「劇症型溶連菌」 患者数は過去最多を更新
12日、名古屋市西区の「かわい内科&皮ふ科」で行われていたのは、子どもがかかりやすいとされている溶連菌の検査。その検査を受ける人が、先月ごろから大人も含めて増加しているといいます。 院長の河合医師が「気をつけないといけないという危機感がある」と警戒しているのは、溶連菌の中でも致死率が約30%と極めて高いとされている劇症型溶連菌。
溶連菌は、一般的に喉の痛みなどを引き起こす細菌ですが、切り傷などの傷口から感染するとまれに劇症化し、手足を壊死させたり、著しい臓器障害を引き起こしたりして、死に至ることもあるといいます。 かわい内科&皮ふ科 河合宏紀院長: 「劇症型は、進行するスピードが速いと言われていますので、全身的な症状が出てきた場合には、早くお医者さんに見ていただくことが大事」
国立感染症研究所によると、15年前は100人程度だった劇症型溶連菌の患者が、去年は941人で過去最多に。今年は6月2日時点で977人と、すでに過去最多を更新していて、今後もさらに増える見込みだといいます。都道府県別では、東京都に次いで愛知県は2番目に多くなっています。
怖いのは“進行の速さ”と“致死率の高さ” 「劇症型溶連菌」の症状と感染対策は?
身近に迫る劇症型溶連菌。感染すると、どのような症状を引き起こすのでしょうか。 最初は発熱や悪寒など風邪のような症状から始まり、その後、手足に激しい痛みや腫れが現れます。放っておくと壊死することも。そこからさらに息苦しさや冷や汗が出て、最後には多臓器不全を伴うショック症状に陥ります。 劇症型溶連菌の最も恐ろしいところは、この症状の全てが48時間以内に起こり死亡する可能性があるという、進行の速さ。致死率も約30%と高く“人食いバクテリア”と呼ばれるほどです。
最近は、この劇症型溶連菌が悪い方に変化しているという報告も。東京感染症対策センターの賀来所長によると、最近の症例では、傷などからの感染だけではなく、飛沫感染の可能性も示唆されているということです。さらに、海外から毒素量が9倍の変異株「M1UK(エムワンユーケー)」が入ってきていて、東京ではすでに4割以上が変異株に置き換わっているという指摘もあります。
では、「劇症型溶連菌」の感染を防ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか。 まず大切なのは、傷ができたら丁寧に洗い流して傷口を清潔にすること。打撲の場合でも炎症を起こしている可能性があるので、患部は清潔にしましょう。さらに、マスクや手洗いといった基本的な感染対策も効果があるといいます。 このように「劇症型溶連菌」は簡単な方法で予防できますが、万が一のとき、油断できないのは進行の速さです。少しでも「いつもの風邪とは違う」「何かおかしい」と感じたら、すぐに医療機関に相談しましょう。