UBS、7-9月純利益が予想の約2倍-マクロ見通し不透明と警告
(ブルームバーグ): スイスの銀行UBSグループの7-9月(第3四半期)は、純利益がアナリスト予想のほぼ2倍となった。同行は米国の選挙や地政学的緊張がマクロ経済見通しを曇らせることに警戒感を示した。
30日の決算発表によると、第3四半期純利益は14億ドル(約2150億円)と、アナリスト予想の7億8330万ドルを上回った。堅調な金利収入が業績を支えたほか、コスト削減の進展も寄与した。
好調な業績にもかかわらず同行は、米経済はソフトランディングの公算が大きいものの、その他の国・地域のマクロ経済見通しは「依然として不透明」だとの認識を示した。10-12月(第4四半期)には金利収入が減少する一方で、費用は「季節的に増加する」との見通しも示した。
セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)は発表資料で、第3四半期業績は「高い変動性と混乱の時期」という環境の中で達成されたとコメントした。
UBSは現在、緊急救済策として昨年買収したクレディ・スイスとの統合を進めている。スイス政府が危機について見直す中でUBSは将来の自己資本比率について高い不確実性に直面しており、必要資本が最大250億ドル増加する可能性もある。
クレディ・スイス買収に絡む規制上の恩恵を徐々に消滅させたことで、自己資本比率の主要な指標である普通株等ティア1(CET1)比率は60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の14.3%となった。
年内に約10億ドルの自社株買い戻しを完了するという計画には影響しないという。2025年以降の資本還元計画はスイスの規制改革の影響を受けることになる。
中核事業のウェルスマネジメントは、手数料収入の増加により税引き前利益が予想を上回り、金利収入の減少を補った。同部門への資金純流入額は250億ドルとほぼ予想通りながら前期に比べると若干少なかった。
投資銀行部門の税引き前利益は約4億500万ドルと、アナリスト予想の1億7400万ドルを上回った。ディールメーキング部門と市場部門の両方で収入が増えたという。