ライフスタイル商社ワイ・ヨットが伝え続ける、「安心安全なフライパンの選択肢」
■PFAS禁止する大手企業が続々と
――欧州では、健康への意識が高い印象がありますが、日本と欧州の消費者の意識はやはり全く違うものでしょうか。 富水流: 海外では何年も前から様々な企業がPFASの使用を禁止する動きがありました。例えば、マクドナルドやスターバックスなどの大企業はPFASの使用を禁止しています。特に、マクドナルドではハンバーガーを包む紙にもこびりつきを防ぐためにPFASが使用されていました。 また、アパレル業界でも、レインコートなどの撥水加工にPFASが使用されており、H&MやパタゴニアもPFASの使用を禁止しています。 2025年には、EU諸国と米国でPFASに対する規制が強まっていく可能性がほぼ決定しているという報道もあり、この流れは一気に加速するのではないかと思います。 企業の動向に合わせ、さらに消費者の意識も高まっていくと思いますが、日本ではまだ規制に踏み切っていない点からも、海外と比べ、かなりの隔たりがあるのではないかなと思います。 ただ、日本でもPFASの報道が少しずつ増え、セラミックコーティングに関心を持つメーカーも増えてきています。 渡辺:ニュージーランドは世界で初めて、2026年までにPFASを含んだ化粧品の販売を禁止することを発表しました。 ――海外では、企業の動きが早いことで、認知度の向上に寄与していると考えられますね。日本ではまだPFASの認知度は低いのでしょうか。 富水流:そう思います。認知度向上に向け、当社は約2年前に、グリーンパンの公式オンラインサイトを立ち上げ、PFASやフッ素樹脂の危険性をブロガーやインフルエンサーとコラボしながら、伝えています。 ここ数年でグリーンパンの売り上げは急激に伸びており、消費者には「セラミックコーティングといえば、グリーンパン」といった認識が広まっているのではないかと感じています。
■「金属」の静脈産業へ挑む
――独自で使い終わったフライパンを回収し、リサイクルする事業も2022年に始めました。フライパンはブランドを問わず回収するのでしょうか。 富水流: リサイクル事業は2022年3月から始まりました。当社のオンラインストアでグリーンパンを購入していただいた方限定で、自宅で使わなくなったフライパンを回収し、リサイクルに回すサービスです。フライパンのメーカーなどは問わず回収をしています。 回収後は、提携を結んだ専門の業者が、素材ごとに分別をして、再資源化しています。例えば、アルミや鉄、ステンレスなどは建材に使用されたり、木の取手などはチップに利用されたりします。 去年までの1年間で400個以上のフライパンを回収しました。お客様からは「捨てるのに困っていた」「リサイクルしてくれるのは嬉しい」というお言葉もいただいております。 料理や食材に気を遣う人は増えたものの、調理器具自体を気にする人はまだ少ない印象です。 PFASの報道が増えている今、グリーンパンの安全性の訴求はもちろん、製品工程においても環境や健康を意識して世に送り出しているということを伝えるチャンスなのではないかと思っています。 緑川: 金属製品は回収しても、熱を加えてしまうことにより品質保証ができず、もとに戻すというのが非常に難しい製品です。異業種の方や専門の方と話をし、純粋な成分を少しでも製品に戻せるよう、自社内で喧々諤々と議論しています。 ※ワイ・ヨットのGreenPan(グリーンパン)は、オルタナとサステナ経営協会が共催する「サステナブル・セレクション2023」の三つ星に選ばれました。「サステナブル・セレクション2024」の応募は、4月1日から受け付けます。