岩倉使節団の一員として留学 佐賀の乱に加わり26歳の若さで処罰された香月経五郎の生きざま 佐賀市の歴史館で企画展
1874年に不平士族が起こしたとされる反乱「佐賀の乱(佐賀戦争)」に加わり、26歳の若さで処罰された佐賀藩士の香月経五郎(1849~74)。佐賀の乱後150年の節目に、知名度向上と再評価を図る企画展「佐賀に殉じた壮士 香月経五郎」(西日本新聞社など後援)が、「佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館」(佐賀市川副町早津江津)で開かれている。 【写真】佐賀の乱に加わり、捕らえられた主要人物の名簿 香月の生まれは、現在の佐賀市川副町早津江で、同歴史館にも近い。数え年で17歳の時に藩校の弘道館に入学し、致遠館でも英語などを学んだ。進学した東京大の前身・大学南校で官費留学生に選ばれ、米国や英国に70年から留学した。留学先では、岩倉使節団の一員として留学していた、元佐賀藩主・鍋島直大の語学の指導役も務めた。 約3年間の留学を終えて帰国したのは、73年12月29日。年明けの1月末に佐賀県職員として辞令を受けたものの、直後に佐賀の乱に参加した。江藤新平(1834~74)の側近として行動を共にし、潜伏先の高知県で捕縛。佐賀に移送され、4月13日に斬首で処刑された。まだ26歳だった。 同館学芸員の近藤晋一郎さんは、香月の帰国時期と、士族の不満が急拡大した時期とが重なった点に注目。「留学の期間が違えば(佐賀の乱に)巻き込まれず、違う人生を送っていたかもしれない」と語る。 企画展では、香月直筆の書簡や佐賀の乱を伝える錦絵など、約40点の資料を紹介している。中でも、母や伯父に宛てた書簡は初公開で、官費留学生として渡航することなどが記されている。致遠館で教えを受けたオランダ人宣教師グイド・フルベッキらと撮った写真などもあり、近藤さんは「短かった香月の生きざまを見てほしい」と話す。 企画展は30日まで。毎週日曜の午後1時半からは、担当学芸員が展示を解説する。観覧料は大人500円、小中高生200円。月曜休館。佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館=0952(34)9455。 (米村勇飛)