SBI北尾会長が語ったサウジ交渉「2カ月半」:リヤドが目論む次世代のデジタル王国【2024年始特集】
北尾氏が2024年に資産のトークン化で注目する3つのこと
──北尾さんが「トークナイゼーション(資産のトークン化)」の分野で2024年に最も注目しているものは? 北尾:仮想通貨から始まって、僕は長い間ブロックチェーンにかかわるところで、業界でもリーダーシップを取ってやってきた。いよいよ本格的な動きが出てきた。1つ目はETFがどうなるかだ。 これによって、世界中の資産運用会社が運用の中に仮想通貨を取り組んでいくかが決まってくる。2つ目に、ステーブルコインをどういうふうに扱っていくかが今年の大きなポイントになってくる。 ビットコイン現物ETF:世界最大の資産運用会社ブラックロックを筆頭に、米国では複数の資産運用会社がビットコイン現物ETF(上場投資信託)の上場申請を提出した。米証券取引委員会(SEC)は今月(1月)にも同申請に対して、承認するか否かを決定すると言われている。ビットコイン現物ETFが上場されれば、投資家はビットコインを保有せずとも、ビットコイン価格に連動するETFに投資することが可能になる。 ステーブルコイン:米ドルなどの法定通貨に連動し、ブロックチェーン上で流通するデジタル通貨のこと。世界の暗号資産市場では、テザー(Tether)が発行する米ドル連動の「USDT」と、米サークル(Circle)が発行する「USDC」が広く利用されている。サークルにはブラックロックやゴールドマン・サックスなどが出資しており、同社のステーブルコインは、現金と米短期国債などで構成される準備金に裏付けされている。 SBIとサークル:2社は2023年11月に包括的業務提携に向けた基本合意を締結し、日本国内で「USDC」の普及を目指していく。SBI VCトレードは今後、電子決済手段等取引業の登録を目指し、USDCの取り扱いを行う計画だ。 3つ目はセキュリティトークン(ST)。これは新しい金融商品が誕生したということ。不動産の小口化というものは昔から存在したが、ブロックチェーンを使って、それをさらにレベルアップした商品ということになる。一般の人たちが投資しやすい商品に改良されるということだ。 現在、不動産を裏付け資産とするSTが先行しているが、これからは様々なアセットがトークン化される時代に入っていく。SBIでは、このデジタル領域は今まで以上に力を入れていく。 2024年は革新の年となるだろう。様々な分野で革新がなされているが、常に抵抗勢力や摩擦軋轢(あつれき)というものは常にある。それを物ともせず突き進んできたのが、我々のグループだ。今後もまた一層突き進んでいく。 |インタビュー・文:佐藤茂|写真:小此木愛里
CoinDesk Japan 編集部