あまりの惨敗で「逆に退陣できない」異常事態…死に体となった石破首相「ネクスト総理」が動きだすタイミング
石破氏はいわば、「人身御供」状態
国民民主党の玉木雄一郎代表は今年度補正予算案への対応に関し「やってほしいと言ったことがどれぐらい盛り込まれるのかも踏まえ、総合的に判断する」と語るにとどめている。 通常ならば、国民民主は公約実現のために賛成する可能性は高いだろう。だが、来年夏の参院選や東京都議選をにらめば、与党に協力し続けていては対決姿勢がとりにくい。いずれのかの時点で立憲民主党など他の野党から「予算成立と引き換えに石破首相には退陣してもらいたい」との声が上がれば、内閣不信任決議案が提出される可能性がある。その時、国民民主党には政治判断が迫られるはずだ。 先に触れた自民党議員の「ひとまず一致団結すべきだ」との言葉は、来年度予算の成立までは待つという意味に過ぎない。今の時点で誰かが「ポスト石破」に就いたとしても過半数割れという状況では思うような政権運営をできず、来年度予算の成立と引き換えに退陣を迫られる可能性があるのだ。八方塞がりにある石破氏はいわば、「人身御供」状態にあると言える。
本格化は予算成立した直後から
逆に言えば、高市氏ら「ポスト石破」候補たちは来年度予算が成立した直後から来夏の参院選に向けて動きを本格化させることになる。自民党は、予算案など重要議題を扱う衆院予算委員長ポストを立憲民主党に譲り、衆院憲法審査会長には同党の枝野幸男元代表が就くことになった。審議・採決の日程や議事進行を差配する予算委において、野党側が委員長を務めるのは30年ぶりのことだ。 これは議席を大幅に減らした自民党が譲歩せざるを得なかったことが背景にある。ただ、重要ポストの野党への譲歩は「国民生活に大きな影響がある来年度予算案や改憲に向けたプロセスにおいて、野党が国会をストップさせることがあれば『責めは野党が負う』という意味」(閣僚経験者)が込められているのは自明だ。予算案の採決は来年春に予定されており、夏の参院選や都議選を前に政局となるだろう。自民党が党是とする憲法改正論議が高まらなければ、「だから野党に政権を任せるわけにはいかない」などと選挙で保守層を喚起する一手になるとの計算も働く。 思い出されるのは、2021年の菅義偉政権末期だ。支持率が低空飛行を続ける当時の菅首相は内閣改造や解散総選挙を模索したものの、このままでは衆院選に勝てないと判断し、衆院議員の任期満了直前に次期自民党総裁選への不出馬を表明した。