あまりの惨敗で「逆に退陣できない」異常事態…死に体となった石破首相「ネクスト総理」が動きだすタイミング
石破首相を本気で引きずり下ろそうとする勢力は現時点で不在
言うまでもなく、不信任案が可決された場合は10日以内に衆院が解散されない限り、内閣は総辞職しなければならない。党勢が弱体化する状況下に再び衆院選が実施されることになれば、今度は「政権交代」の4文字が現実味を帯びるだろう。仮に総辞職の道に進んだ場合は年末の予算編成や税制改正作業への影響が生じるのは必至だ。 このため、自民党内には「ひとまず一致団結すべきだ」「党内抗争が激化すれば野党に転落する」との危機感が強い。両院議員懇談会に姿を見せなかった高市氏には、石破執行部に不満を募らせるメンバーや落選議員から「ポスト石破」への期待が集まる。ただ、その高市氏も11月9日の「X」(旧ツイッター)に「自民が分裂していたら立憲民主党を中心とする内閣ができるだけだ」と結束を呼びかけた。 つまり、石破首相を本気で引きずり下ろそうとする勢力は現時点で不在なのだ。その意味では恨み節は多くとも、石破首相は「辞めるとしても辞められない」状況にあると言える。与野党にパイプを持つ森山幹事長は国民民主党に協力を呼びかけ、無所属議員にも秋波を送る。「今の自民党に幅広く協力を求められるのは森山氏しかいない」(自民党ベテラン)ことも執行部を代えられない背景にある。 では、石破氏はこのまま政権を維持し続けることができるのか。自民党を担当する全国紙政治部記者は「第2次政権を発足しても、あくまでもワンポイントで終わるだろう」と見る。理由としてあげるのは、来年夏の参院選だ。
野党の協力なしに予算成立できない
衆院とは異なり、参院は与党の議席数が過半数を上回っている。条約の承認や首班指名など憲法上の衆院の優越を除けば、参院で多数派を形成する与党は強い。 だが、予算案の議決も憲法60条で衆院の優越が規定されている。要は、過半数の議席を確保できていない与党は国民民主党など野党の賛成がなければ予算を成立することができない状況が続くのだ。石破執行部は11月10日、日本維新の会の馬場伸幸代表らと会談して協力を呼びかけたが、維新側は予算案や法案の審議で協力しないと突き放した。 仮に政府・与党が年末の予算編成や税制改正作業で国民民主の提案を盛り込んだとしても、実際の採決で賛成してくれる保証はない。