先発戸郷、痛恨被弾 直球狙われ5回4失点 「今までにない重圧」 野球プレミア12決勝
淡々と腕を振っていた先発戸郷の表情がゆがんだ。五回に先制ソロを許し、なおも1死一、二塁で陳傑憲に痛恨の3ラン。内角低めに投げ切った150キロ直球を完璧にとらえられた。「僕の中ではいい球だったけど…。実力不足です」。5回4失点と大会連覇への道筋を作れなかった。 台湾の術中にはまった。許した7安打のうち、6安打は直球をとらえられたものだった。球速と球威はあったが、自慢のフォークを見切られ、甘く入ったところを痛打された。好調だった打線も4安打と沈黙。右腕は「井端さんを裏切る形になって申し訳ない」と敗戦の責任を負った。 先輩たちに導かれて世界一に立った、昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)から立場は変わった。若手が多い今大会、経験豊富な24歳は精神的支柱としての役割も求められた。「今までにないくらいに重圧も感じたし、緊張した」。世界一をかけて上がったマウンドは、悔しさが残った。 主要国際大会で続いていた日本の連勝は「27」で止まった。再来年にはWBCがある。「まだまだ僕の戦いは終わらない。この悔しさをバネにしてやっていきたい」。侍のエースにうつむいている時間はない。(川峯千尋)