健康的な食で睡眠の質を向上 取り入れたい3つの食事法
今夜のデザートに何を食べようかと考え、真っ先に思い浮かんだのがアイスクリームだったとしよう。ボリュームたっぷりの夕食の後、2すくいのアイスにトッピングを追加して、炭酸飲料と一緒に味わう。それから数時間、おなかの微妙な不快感が夜まで続く。ぐっすり眠ることができず、朝になってもイライラし、おなかが張って苦しい。 食べ物が睡眠に与える影響については、科学によって食のイノベーションが進行中の現在でもまだ研究が続けられている。最新の研究では、さまざまな食品が体をリラックスさせ、睡眠を誘うことがわかっている。たとえば、アーモンドや七面鳥、キウイフルーツ、クルミ、白米などの食品は、睡眠の質を高めることがわかっている。これらの食品は、より体系的なアプローチが必要な人向けの健康的な食生活や食事計画にも取り入れられている。 よい睡眠を得るのに役立つ食品をいくつか紹介しよう。 ■植物性食品 果物や野菜、ナッツ類、穀類、豆類などの植物性食品は睡眠の質に影響することが研究で明らかになっている。学術誌『スリープ・ヘルス』に掲載された論文によると、植物性食品を基本とする健康的な食事ではアミノ酸のトリプトファンを多く摂取でき、その結果、体内のメラトニンとセロトニンのレベルが高くなるため睡眠の質が向上する。 植物性食品を中心とした食事は健康面に効果があるとして注目されているが、すべてが健康的というわけではない。健康的な食事とは、植物性食品を多く摂り、動物性食品を減らすことだが、肉を食べないことが必ずしも健全な食生活につながるとは限らない。精製穀物や甘いもの、加糖飲料など睡眠に悪影響を及ぼす飲食物を多く摂取すれば、どのような食事でも不健康なものになる。究極的には、食事に植物性食品を多く取り入れることが睡眠の質の向上につながる。
ケトジェニック食品と低グルタミン酸食品
■ケトジェニック食品 ケトン食(KD)とも呼ばれるケトジェニック食品は、脂肪とタンパク質が多く、炭水化物が少ない。ケトン食には魚介類、肉類、家きん肉、それからパプリカやブロッコリーといったでんぷん質を含まない野菜、アボカド、ベリー類、卵、高脂肪乳製品(牛乳やプレーンヨーグルト)、オリーブオイルなどの油、ダークチョコレートなどがある。就寝前にこのような食品を食べると、特に慢性疾患を抱える人の睡眠改善に役立つ可能性がある。 学術誌『スリープ・メディシン』に最近掲載された論文によると、多発性硬化症(MS)を患う人は睡眠障害を発症しやすく、生活の質が著しく損なわれる。だが、ケトン食を取り入れることで日中の眠気を軽減し、睡眠の質を全体的に改善できるという。また、片頭痛持ちの人の睡眠改善にもケトン食が有効だとする研究結果もある。 食事は個人的なものだ。ケトン食と睡眠の質との関連性を科学で明らかにしようと研究が続いており、それぞれのニーズに合った正しい食事の計画を立てる際には専門家に相談することが重要だ。 ■低グルタミン酸食品 学術誌『ニュートリエンツ』に発表された論文によれば、低グルタミン酸食は、遊離グルタミン酸の消費を制限する健康的なホールフード(自然食)だ。グルタミン酸は学習と記憶に関係している神経伝達物質で、「心を落ち着かせる」効果が知られているγ-アミノ酪酸(GABA)と呼ばれる別の神経伝達物質を生成するのにも欠かせない。γ-アミノ酪酸は睡眠、緊張緩和、不安のコントロール、筋肉の機能に影響を及ぼす。低グルタミン酸食品には卵、果物、葉物や根菜類などの野菜、ベリー類、赤身の肉、魚などがある。 結局のところ、特定の食事法が別のものより優れているということではない。大切なのは健康的な食生活を実現することであり、代謝は人それぞれで、栄養の効果も食事パターンによって大きく異なる。植物性食品中心の食事をケトン食に置き換えたり、各食事法から適宜に食品を選んだり、そんな単純なことでも十分かもしれない。 たとえば、アボカドは高脂肪食の一つでもあるが、睡眠効率を高め、中途覚醒を抑えるのに役立つカリウムを含んでいる。また、就寝前にカモミールやパッションフラワーのお茶を飲むと寝つきが良くなる。適切な食品を選ぶことで、心身のリラックスや良い就寝習慣につながる。
Sophie Okolo, MPH