鉄の添加で「漆黒」になるのはウルシオールの配列が変わるから 原子力機構など解明
炭素と炭素が2本の手で結びついたような二重結合が連なる構造は可視光を吸収しやすく、物質を黒くする。南川研究員は「鉄を起点にベンゼン環にある二重結合が連なって黒漆は漆黒になるのだろう」と話す。
黒漆は鉄イオンの作用により塗膜が早く乾燥することが知られていたが、有害物質の分解を早めるような触媒機能をもつことも最近分かってきた。漆に添加する金属イオンの種類や量を制御することで、古来の漆技術を最先端の触媒技術などに生かせる可能性があるという。
研究は、J-PARCセンターと明治大学と共同で行い、米化学会の学術誌「ラングミュア」電子版に3月5日掲載された。