「ご当地キャラ」から考えるいじめ問題 長野の男性呼び掛け
ご当地キャラクターでいじめ問題を考えてみよう――。世界的ないじめ反対運動の行動日「ピンクシャツデー」の22日、長野市でキャラクター活動を支援する「プロジェクト亞璃紗(ありさ)」(臼井一代表)が「キャラクター活動を通じて差別やいじめを考えてみよう」と呼び掛ける集いを長野市で開きました。各地で無数に生まれたキャラクターが客寄せとして無造作に扱われるのならば、それはいじめ・差別やコミュニケーションの欠落につながるのではないかと問題提起しています。
何かと不自由なキャラクター
臼井代表(33)=長野市=は東京の大学を出て長野に9年ほど前にUターン。キャラクターショーを見て関心を持ち、各地で生まれているキャラクターの活動を支える目的で友人らとプロジェクトを立ち上げました。キャラクターが出演する際のコンセプトの確認や動作の注意点などを助言したり、付き添い役の「アテンダント」の養成などに取り組んでいます。 キャラクター活動を続けるうちに自分の周りに集まる人たちの間で、キャラクターとどう接したらいいのか、コミュニケーションの取り方は? といった戸惑いがあることに気付きました。その結果、時には見物人がキャラクターをたたくなどの行動も。 その戸惑いや思いがけない行動はなぜなのか。そこにいじめの問題やコミュニケーションの問題を考えていくヒントがあるのではないか。その気付きが、この集いを開くきっかけでした。 この日の集いは長野市のふれあい福祉センターで開催。キャラクター活動の紹介や、イベントでの一般来場者との関係、そこにある問題点などを臼井さんの手で大きな紙に書き出しました。 臼井さん自身もキャラクターを演じていて外からたたかれたり「こっちへ来い」、「しゃべってみろ」などと言われてつらい思いをしたことも。「キャラクターにしゃべれと言うのは、車いすの人に立てと言うのと同じでは。目つぶしされることもあり、あなたは友達にもあいさつ代わりに目つぶししますか? ということになりますね」と臼井さん。 「キャラクターはしゃべれない、身動きしにくい、駆り出された先で自分の真の意思が持てない」と説明。「キャラクターを単なる着ぐるみではなく“生き物”として見ることができますか」と問いかけました。 「キャラクターを“異物”と思い込むことによって、どのように接したらよいのか分からなくなって混乱が起きる。友達や自分の子どもを“異物”だと思うことから生じるいじめや虐待の問題を考える上でヒントになるように思います」 臼井さんは結論を急がず、集いに参加した人たちと話し合いを続けることに意味を見いだしています。「今日の呼びかけも“いじめ問題をゆる~く話し合おう”ですから、キャラクターをめぐる人々の反応や行動をゆっくり考えていきたい」。