「マイナンバーカードには有効期限がある」トラブル続きのマイナ保険証を政府が国民に押し付ける本当の狙い
■「マイナ保険証のほうが便利」でなければ利用者は増えない 昨年12月2日をもって現行の健康保険証の新規発行が停止された。マイナンバーカードを使った「マイナ保険証」に一本化するとの政府方針だったが、現実にはマイナ保険証への切り替えは遅々として進んでいない。12月2日から8日まで1週間のマイナ保険証利用が急増したと福岡資麿厚労相は記者会見で胸を張っていたが、11月の18.52%の利用率が28.29%に上がったというだけで、まだ3割に満たない。大臣は「各種媒体を通じた広報を継続的に実施した一定の効果」だとしていたが、確かに、12月2日をもって現行の保険証は使えなくなると勘違いしていた人も少なくなく、この3割が定着するかどうかは微妙だ。 【この記事の画像を見る】 というのも、現行の保険証も期限が来ない限り1年間は使うことができる。また、期限が到来した場合でも、新たに発行される「資格確認書」が送られてくるので、引き続きマイナ保険証がなくても保険受診が可能だ。つまり、マイナ保険証の方が便利だ、となればこの1年の間に利用する国民が増えるだろうが、そうでなければ現行の保険証や資格確認書を使うことになるだろう。当然といえば、当然の国民の行動である。 ■7割の医療機関でマイナ保険証のトラブルが発生 実際、マイナ保険証はトラブル続きで評判が悪い。2024年10月時点でマイナンバーカードを保有している人は9449万人と全人口の75.7%で、そのうち8割に当たる7747万人がマイナ保険証に登録している。にもかかわらず、利用率が3割に届かないのだ。多くの人が病院や薬局を受診する際、現行の保険証などを窓口に提示している。 全国保険医団体連合会の調査(調査対象1万2735医療機関)によると、2024年5月以降、マイナ保険証のオンライン資格確認でのトラブルや不具合が「あった」という回答は8929機関。「なかった」の3128機関を大きく上回り70.1%に達した。資格情報が無効だったり、カードリーダーの接続不良や名前や住所の間違いなどさまざまなトラブルが起きている。結局、「その日に持ち合わせていた健康保険証で資格確認をした」機関が6967にのぼった。 同連合会が前回行った2023年10月以降のトラブルの調査(対象5188医療機関)では、「あった」が59.8%だったといい、10%ポイントも上昇している。利用者が増えた分、トラブルも増えているということだろう。