「サイゼが香川で苦戦中」という噂は本当か、全店舗めぐって検証してみた結果。ミラノ風ドリアをもってしても高すぎた「うどんの壁」
最新の調査である2023年では、県民のうどん外食1回当たりの平均支払金額は503.96円と推定されている。うどん外食のほとんどがランチだろうから、これはイコール「うどんをランチとして食べるときに支払う金額」と捉えてもよい(とても安いが、前年より28円ほど平均値が上がっている)。 すると、どうだろうか。サイゼの500円ランチと、香川県民のうどん支出額は、ほぼ拮抗するのである。大発見だ。 なるほど、こうなってくると、うどんとサイゼランチは値段的な面でいえば、互角に戦わなくてはならなくなる。「うどんの壁」はなかなか高い。
では、ディナーは? というと、これはこれで難しい。 サイゼのディナー需要を支える一つが、「サイゼ飲み」、つまりアルコール需要だろう。グラスワインは100円って、駄菓子かと思う安さだ。酒飲みならほぼ全員、人生に1回は、サイゼの安さに驚いているはずだ。 しかし、現在香川4店舗にあるサイゼリヤを見ると、3店舗はいわゆるロードサイド型店舗で、イオンモールの中に入っている。お客さんの大半は車で来ているから、酒を飲む、ということができない。
実際、私が店を訪れたときも、ワインを飲んでいる人たちはいたものの、カップルや夫婦の片方だけが飲んでいる光景が多く、都心で見られるように、みんなでサイゼ飲みをする光景は見られなかった。 また、唯一といってもよい都心型立地店舗である「丸亀町グリーン店」では、香川県の他の店舗に比べて、アルコールを飲んでいる人々が多く、やはり車社会におけるアルコール需要の問題は大きいのかもしれない、とも感じた。 これはロードサイド店全店にいえる問題だが、特に香川の場合は、ランチ需要における「うどんの壁」問題があるため、ディナーにおける売り上げの成否は大きなものになる。
それが、結果的に、香川におけるサイゼの存在感を弱めているのかもしれない。 ■圧倒的な香川の「うどん」ブランド そして、圧倒的なのは、香川県人にとっての「うどん」というものが持つ、ブランド力、というか地域への根付き方だ。 私がよく行くうどん屋に「なかむらうどん」といううどん屋がある。 溶き卵の中に釜からあげたうどんを投入し、だし醤油をかける「釜玉うどん」が名物の一つで、私の中では、生涯食べた食べ物の中でも、ほぼ1位に鎮座しているぐらいにおいしい。