AGA専門医がやさしく教える「以前より毛がフサフサに増えた人」にどんな声をかけるべきか
■「まだ大丈夫でしょう」に傷つき、落ち込む 親しい人にも打ち明けられず、一人で抱えてしまいがちなのが、いわゆる「ハゲ(薄毛)」のお悩み。円形脱毛症や髪の毛がすべて抜けてしまう全頭型脱毛症、そして男性ホルモンや遺伝が主な原因となる「AGA」(男性型脱毛症)が挙げられます。 現在、AGA患者は国内に1000万人以上いると試算されています。そんな人たちにとって、近年AGAや薄毛の治療法が確立され、専門外来も増えたことは、まさに希望の光といえるでしょう。 一般的には30~50代の中年男性に多く見られる毛髪疾患ですが、最近は20代の若い患者さんも増えています。そんなAGA患者に対し、どう接すればいいのか。原則としては「(髪の話題に)触れないこと」に尽きます。 私が日々、診察にあたる中で感じているのは、AGA患者の悩みはとにかく深いということです。「そんなに気にしなくていいんじゃない?」「まだ大丈夫でしょう」といった言葉に対して、「『そんなに』『まだ』ということは、少しはハゲているということだ」と傷つき、落ち込んでしまうのです。 もちろん、AGAでもまったく気にしない人もいます。反対に、軽症でも心底苦しんでいる人もいる。症状の程度と悩みの大きさは比例しません。自分の想像で、AGA患者の心の痛みを決めつけないでほしいと思います。 絶対にしてはいけないNG行為は、薄毛の部分を直接触ることや上から覗き込むこと。また、たとえ親しい関係であっても、悩んでいる相手に「最近、また薄くなったんじゃない?」といった言葉をかけるのは軽率です。ましてや「カツラ(もしくはウィッグ)ですか?」などと相手が隠していることを指摘しないこと。円形脱毛症を見つけ、心配な気持ちからくる言葉だとしても「これ、10円ハゲじゃないですか? 大丈夫ですか?」などといった声掛けは控えましょう。 美容院などの美容の現場では、お客さんのハゲを見つけても絶対に指摘しないように指導されると聞きます。それは美容現場におけるマナーだからでしょう。私は「励(ハゲ)ます」という言葉すら、患者さんの前では用いないようにしています。