AGA専門医がやさしく教える「以前より毛がフサフサに増えた人」にどんな声をかけるべきか
■AGA治療を公言する人、ひた隠しにする人への一言 これだけAGA患者が増えているということは、もしかしたら友人や同僚にもAGA治療を受けて、そのことをひた隠しにしている人がいるかもしれません。もし、そんな相手の毛髪に変化が見られても、「髪、増えましたね」などと直接的には触れないこと。「○○さん、なんか最近カッコいいですね」などと全体の雰囲気が変わったことを伝えるのは悪くないと思います。 反対に、AGA治療を公言する人もいます。これは重要な見極めポイントで、ハゲ自虐とは違い、むしろ「髪増えたね」「すごいね」と言ってほしい人たち。この場合は「髪が増えて若返ったね」などと褒めてあげるとよいでしょう。 時々「ピカピカして、俺の頭みたいだね」などと、自分のハゲをネタにする人もいます。無視するわけにはいきませんから、このときは適度に話を合わせるほかないでしょう。 しかし、間違ってもその自虐を「この人はハゲをいじってもいい人だ」とは受け取らないでください。自分から言うのと、人からいじられるのは違います。自虐する人も、人から言われると傷つくから自ら先に公言している、という側面があるのです。 AGAは治療せずに自然治癒することはありません。放っておくと進行してしまうれっきとした「病気」であることを、「自分はハゲとは無縁」と思っている方にこそ知っていただきたいです。病気で苦しむ人に対して慎む言動は、AGA患者にも慎むことが最低限のマナーではないでしょうか。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年10月4日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 入澤 亮吉(いりざわ・りょうきち) 皮膚科医 1988年東京医科大学卒業後、同大病院皮膚科学教室に入局。2002年、皮膚科助教。現在は東京医大病院皮膚科講師ほか、都内クリニックなどで診療にあたる。円形脱毛症、男性型脱毛症(AGA)などの毛髪疾患が専門。 ----------
皮膚科医 入澤 亮吉 構成=大森りえ