『スカイキャッスル』はママ友版パワーゲーム 『名前をなくした女神』『夜行観覧車』と比較
医療ものから恋愛もの、ひねりの効いた警察もの、ロングヒットのシリーズまでさまざまな作品がオンエアされている2024年の夏ドラマ。中でもちょっとした異彩を放っているのがテレビ朝日系で放送中の『スカイキャッスル』だ。 【写真】“オフェンス力”が高すぎる松下奈緒と木村文乃 オリジナルは韓国で2019年に放送された『SKYキャッスル~上流階級の妻たち』。当初は1.7%だった視聴率が23.8%まで跳ね上がり、数多くのタイトルを受賞した大ヒットドラマである。 日本版も韓国版のエッセンスを取り入れた構成になっているが、オリジナルに比べて話数が少ないため、見どころもより凝縮されている印象。ここでは日本版『スカイキャッスル』を掘りながら、これまでネット界隈で大盛り上がりを見せた2本のご近所&ママ友ドラマも同時に振り返ってみたい。
昨日の友は今日の敵? ママ友たちのお受験バトル
最初にピックアップするのは、2011年4月期放送の『名前をなくした女神』(フジテレビ系)。出演は、杏、尾野真千子、木村佳乃、倉科カナ、りょう、高橋一生ほか。引っ越し先の幼稚園で出会ったママ友たちに触発され、長男の私立小学校受験に参戦する侑子(杏)の奮闘と戸惑いに加え、ママ友たちがそれぞれ抱える問題も次第に浮き彫りになる一作だ。 このドラマで恐ろしかったのは、ベビーアパレル系のネットショップを経営し、ママたちの見栄バトルにも参加しないサバサバ系の利華子(りょう)が最大の敵に変貌したこと。侑子の長男が合格した名門私立小学校に利華子が保護者の振りをして入学辞退の電話をかける姿には鬼気迫るものがあった(実際にライバルの保護者がこういった偽電話を学校にかける事例もあるらしい)。 タイトル『名前をなくした女神』とは、自分の名ではなく「〇〇ちゃんママ」と呼ばれ続け、自らの“個”に対して不安を抱える母親たちを表しているのだろう。
セレブが住む高級住宅地で起きた謎多き事件
次にフォーカスするのは、2013年1月期放送の『夜行観覧車』(TBS系)。イヤミスの女王こと湊かなえの原作を基に、横浜市の高級住宅地での人間模様とそこで起きた殺人事件を軸にストーリーが展開する。出演は、鈴木京香、石田ゆり子、田中哲司、杉咲花、安田章大、中川大志、夏木マリほか。 少し無理をして高級住宅地に戸建てを購入した遠藤一家。主婦の真弓(鈴木京香)は憧れの地での暮らしに胸をときめかせるが、ゴミ出しのルールを破ったことでボス的存在の小島(夏木マリ)から日常的に嫌がらせを受ける。そんな中、真弓と心を通わせ友人付き合いをするようになったのが開業医・高橋(田中哲司)の妻・淳子(石田ゆり子)だ。が、ある日、高橋が何者かに殺害され、淳子の所在も不明になる。真弓は中学校受験に失敗し、自宅で暴れるようになった娘・彩花(杉咲花)と向き合いながら、淳子のことを探そうとする。 ゴミ出しルールやバザーでのお作法、ホームパーティーなど新参者の主人公にとってはトラップが山盛りのストーリーに加え、ミステリーの要素も相まってネット掲示板やSNSで大きな盛り上がりを見せた一作。意外(?)なことに、住宅地のボス・小島やナンバー2の安藤(長谷川稀世)らにも人気が集まった。安田章大と中川大志の兄弟役も見どころのひとつ。