「増税メガネ」路線は継続…「骨太方針2024」が日本国民の貧困化と国家の弱体化を決定づけるこれだけの理由
財政規律の存在を隠蔽しようとする財務省
具体的な記述は、以下の二ヵ所だ。 ---------- ・「2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す」(P36) ・「予算編成においては、集中的に改革を講ずる2025年度から2027年度までの3年間について、上記の基本的考え方の下、これまでの歳出改革努力を継続(139)する。」(P37) ---------- 前者は明確な文章だが、後者は少々解説が必要だろう。かなりややこしいのだが、厳密に書くと次のような話になっている(ただしこの話はややこし過ぎるので、必ずしもその全容を理解する必要はない)。 まず、「これまでの歳出改革努力を継続(139)」の(139)というのは注意書きだが、その中身は「139:経済財政運営と改革の基本方針2021(令和3年6月18日閣議決定)に定められた2022年度から2024年度までの3年間の歳出改革努力を継続」となっている。そしてこの「経済財政運営と改革の基本方針2021」の中身を見れば、上述の「2022年度から2024年度までの3年間の歳出改革努力」というのは「2019年度から2021年度までの3年間の基盤強化期間」の取り組みであると記載されている。 さらにこの「2019年度から2021年度までの3年間の基盤強化期間」というのは、「経済財政運営と改革の基本方針2018」に「2016年度~2018年度の集中改革期間」の取り組みであると明記されていると同時に、これが「集中改革期間の3年間で一般歳出1.6兆円程度、社会保障関係費1.5兆円程度の増加。同期間の高齢化による増加分は1.5兆円程度」という中身だと記載されている。 そして、この最後の文章は、要するに、社会保障費の増分は3ヵ年で1.5兆円以下、非社会保障費の増分は3ヵ年で1千億円以下とする、という意味となっているのである。 いずれにしても、上記のような構図の中で、今年の「骨太」の脚注139に「2022年度から2024年度までの3年間の歳出改革努力」と記載されたということは、要するに「非社会保障費の予算の増分を3年間で1000億円以下にする」という財政規律を今後3年間において政府の財政に当てはめるということである。 この超絶に複雑な構図を構築した内閣府、あるいは「財務省」は、「3年間で非社会保障費の増分を1000億円以下にする」という文言を一切明記しないまま、その内容を超超絶にわかりにいかたちで記述することを通して、総理をはじめとした政治家、そして国民を欺き、そのような規律など存在していないかのように見せかけていると考えざるを得ない。実に姑息な話だ。 いずれにせよ、岸田文雄総理がそれをどこまで理解しているのかは分からないが、仮に分かっていなかったとしても、彼がこの「骨太方針」を決定しようとしているという事実は覆らない。 その結果、岸田総理であろうがその後の総理であろうが、来年にPB赤字を無くすために、そして、年間平均333億円以下の予算増しか認めないという規律を守るために、岸田氏が今、進めようとしている防衛費増強等のための「増税メガネ」路線を継続しなければいけなくなった。と同時に、それ以外の予算を「激しく削減」しなければならなくなってしまったのである。 こうして日本は、この骨太の方針の最終決定を通して、「地獄行き」がほぼほぼ確定するという事態に立ち至ってしまったのである。最悪中の最悪の総理判断だと断ぜざるを得ない。