敵情視察に必殺パンチ隠した王者の木村翔が大晦日に願う脱ボンビー生活
この7月に木村は、北京、ロンドンと五輪連覇を果たした中国の英雄、ゾウ・シミンに敵地の上海で勝ち、「卓球の福原愛の次に有名な日本人アスリート」となったが、日本ではまったくの無名の世界王者である。 TBS系のスポーツドキュメント「バース・ディ」で取り上げてもらったが、視聴率は3パーセント前半台で知名度は、まだまだ。しかも、現在、池袋の家賃5万、5畳一間の1K住まい。ゾウ・シミン戦のご褒美の電動自転車で、高田馬場にあるジムまで通っている。酒屋のバイト生活も続行中。さすがに試合前には長期休暇をもらっているが、防衛を重ね、そういうボンビー生活”から一日でも早く脱出したいという。 「家賃10万、10畳の新居に引っ越したいし、バイトもやめてボクシングに集中したい。減量のときのバイトってほんときついんですよ」 最近の世界チャンピオンクラスでは、とんと聞かれなくなったハングリー精神が木村のバックボーンにある。 「大好きな八重樫さんのような激闘をしたい」 八重樫東(大橋)は4年前に五十嵐からWBCの同級タイトルを奪取しているが、木村は、その戦いを理想像におく。 「五十嵐は、この試合がラスト、負ければ引退と言っている。気持ちと気持ちのぶつかり合い。バチバチの打ち合いになると思うが、勝って今後の人生につなげたい」 対する五十嵐はアテネ五輪代表からプロ転向したエリートではあるが、王座転落後は挫折を味わい、決してテレビ局が煽るような雑草vsエリートという構図ではない。 お互いの今後の人生を賭けた激しいファイトになることは間違いないのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイズ通信社)