前線にそびえたつ“緑のライトハウス”。昌平高校・鄭志錫が愚直に突き進むのは『日本一の15番』への道 【NEXT TEENS FILE.】
まさに前線にそびえたつ“緑のライトハウス”だ。チームメイトはその男が力強く照らす明るい光を頼りに、ボールを預け、ボールを受け取り、攻撃をスムーズに構築していく。その上で、個性派の集まるグループを引っ張っていくリーダーシップも携えているのだから、実に頼もしい。
「プレミアでは徐々にチームとしても、個人としても、スピードに順応してきたなという感じはあって、そこで自分のストロングポイントでもある身体を使ったポストプレーや得点感覚は、去年より養えていると思います。正直、相手を背負ってしまえばボールを取られる気はしないですし、自分の間合いに入ったら負ける感じはしないです」
昌平高校の1トップを任された、15番を背負う屈強なストライカー。プレミアリーグで重ねた実戦経験から大きな自信を得てきた鄭志錫のパフォーマンスは、今年のチームの勝敗を左右するだけの確かな影響力を持ち始めている。
本人も「自分の強みは体の強さを生かしたポストプレーだったり、収めるところなので、そこは自分の中でも自信はあります」と口にするように、とにかくボールが収まる。最終ラインからシンプルに送られたフィードも、中盤から縦に付けられたクサビも、洗練された身体捌きでしなやかに受け入れると、最適なポイントへ落としていく。
ストライカーではあるが、決してエゴイストではない。プレミアEAST第2節の前橋育英高戦。2-2の同点で突入した試合終盤の78分。鄭は巧みに最終ラインの裏へ抜け出してGKと1対1のシーンを迎えたが、シュートではなく、より確実な横パスを選択。三浦悠代の決勝点をアシストしてみせる。
「自分で打ちたかったですけど、可能性の高い方を選びました。去年からプレミアを経験させてもらって、1点の重みや1勝の重みというのは、本当に重いと感じていたので、可能性の高い方を選んで、それが結果に繋がって良かったなと思います」
もちろん自分のゴールにはこだわっているが、まず優先すべきはチームの勝利。玉田圭司監督も「あそこで志錫が懐を使えることが、2列目や3列目が気持ち良くプレーできる要因でもあると思うので、そこは僕もちゃんと見ているし、評価はしています」と言及するあたりに、このストライカーがピッチに立つことの重要性が滲む。
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