ディーノ以来の大進化! 360 モデナ/スパイダー/チャレンジ・ストラダーレ(1) 想像以上に優しいフェラーリ
アルミ製スペースフレームにF1マティック
エンジンは、フェラーリ348からの進化版となる、バンク角90度の5バルブ・ツインカムユニット。排気量は3.6Lでドライサンプ化され、フラットプレーン・クランクが組まれ、可変吸気システムとデュアルフェーズ・バルブタイミングを実装した。 燃料供給を制御したのは、ボッシュ・モトロニック 7.3。スロットルはバイワイヤで操られ、最新のエンジン・マネージメント・システムが司った。 8500rpmで達した最高出力は、405ps。36.9kg-mの最大トルクは、それまでより1250rpm手前の4750rpmで発揮した。 主力となったトランスミッションは、イタリア・トリノに拠点を置くグラツィアーノ社製のF1マティック。電動油圧システムによる6速オートメーテッド・マニュアルで、360シリーズを購入した人の70%が選んだそうだ。6速MTも設定されたが。 サスペンションは、前後ともスチールコイルとアンチロールバーが支える、新設計のダブルウイッシュボーン。ドイツのザックス社と共同開発された、アダプティブダンパーが採用された。 ステアリングのレシオは、F355よりクイック化。ロックトゥロックは3.2回転から2.7回転へ縮められた。ブレーキディスクはブレンボ社製。直径は前後共通で330mmだった。 360 モデナで話題を集めたのが、新しいアルミ製スペースフレーム構造だろう。F355の、スチール製フレームにチューブラー・サブフレームを組んだ構造から刷新。軽いだけでなく、剛性は従来から40%増しが主張された。
過去最も普段使いしやすいフェラーリ
数々の新技術で、360 モデナが過去最も運転しやすいフェラーリに仕上がっていたことは間違いない。ポルシェは996型で911を水冷化したが、普段使いできるスーパーカーとして、接近したライバルになった。 英国価格は10万1249ポンドからと、911 ターボより1万5000ポンド以上高額だった。しかし、技術的には一歩進んでいた。 今回、シルバーストン・サーキットに集まっていただいたのは、360 モデナとスパイダー、チャレンジ・ストラダーレの3台。6年間のモデルライフで提供された、主要なモデルといえる。 フェラーリ・オーナーズクラブGBが、手配に協力してくれた。2024年8月のシルバーストン・フェスティバルで、360の25周年を祝うイベントを計画しているそうだ。 ツールドフランス・ブルーの360 モデナは、トビー・フォレスター氏がオーナー。最近再塗装したばかりらしいが、ボディカラーと相まって、落ち着いた雰囲気にある。フロントフェンダーに跳ね馬のロゴがないのは、むしろ好ましい。 5スポークのアルミホイールは、18インチの純正。現行のマツダMX-5(ロードスター)と同じ直径だと知ると、近年の拡大ぶりに驚ける。扁平率は前が45で、後ろが40と、サイドウォールは厚い。傷みが酷い、グレートブリテン島の路面に向いている。