〈過去最高の介護保険料は悪いこと?〉「目立つ地域差」も、高額自治体に取材してわかった深い理由
介護保険制度がこの4月から25年目を迎え、第9期3年間の介護保険料が決まった。40歳以上の国民が払う介護保険料は、65歳以上の高齢者と未満の2区分があり、高齢者が払う保険料は保険者の市町村自治体が独自に決める。 【図表】介護保険料が上位の保険者 全国平均で月6225円だが、大阪市は最も高額の月9249円になった。大阪市に次ぐ第2位、第3位には守口市、門真市が続き5位には松原市が入る。いずれも大阪市に隣接する人口12万人弱から14万人台の似たような自治体である。 最も少ないのは3374円の東京都小笠原村。大阪市との差は2.7倍で、年間にすると約7万円の違いとなる。多くのメディアは、「過去最高の3.5%増」「年10万円超も」「目立つ地域差」などと、高額になることが良くないことであるかのような論調だ。 果たしてそうなのか。高額といくことは、一般的には多くの介護サービスが地域にあり、住民の選択肢が広がることである。一概に否定すべきことではないのではないのか。まず、高額な保険料を決めた自治体にその理由を聞いた。
一人暮らし高齢者はなぜ、保険料が上がるのか
大阪の4都市はいずれも、一人暮らし高齢者と低所得者が多いことをあげる。一人暮らしになると、調理や掃除などの日常生活で不安感が高まり、軽度の状態から介護サービスに頼りがちだ。そのため「要介護認定率が高まってしまう」(大阪市)。 大阪市の全高齢者世帯に対する独居高齢者の比率は45%に達し、全国平均の29.6%を大きく上回る。独居高齢者の要介護認定率を大阪市が独自に調べると23年で38.6%に上った。2人以上の世帯の場合の約2倍だという。この結果、大阪市の要介護認定率は27.3%に達し、全国平均の19.3%を8ポイントも上回る。 要介護認定率が高ければ介護サービスの利用者は多いことになり、介護サービスの総額が増え、保険料は増えてしまう。守口市も独居高齢者が多く、高齢者世帯に占める比率は大阪市ほどではないが、38.7%に達する。要介護認定率は24%で全国平均より5ポイント高い。 門真市でも「一人暮らし高齢者は増え続けている」としており、要介護認定率は23.2%である。松原市も同様の理由を挙げ、要介護認定率は同様に高く23.8%だ。独居高齢者が増えるのは日本全体の趨勢で、これらの都市は日本の将来像を先取りしているとも言えるだろう。