介護事業者の倒産最多、人手不足や物価高騰・報酬改定で…小規模なほど経営苦しく
2024年に倒産した介護事業者は計172社に上り、介護保険制度が始まった00年以降で最多となったことが9日、東京商工リサーチ(東京)の調査でわかった。人手不足や物価高騰に加え、24年度の介護報酬改定で一部サービスの公定価格が引き下げられたことが影響したとみられる。
負債額1000万円以上の倒産を同社が集計した。サービスの種類では、ヘルパーが高齢者の自宅で入浴介助や調理などを行う訪問介護が81社と約半数を占めた。デイサービスやショートステイ(短期入所)は56社、有料老人ホームは18社、ほかに認知症グループホームなどで17社だった。
訪問介護を巡っては、厚生労働省が24年度の報酬改定で、ヘルパーの賃上げ分を事業所に支給する「処遇改善加算」を増額した一方、光熱水費などの運営費に充てる単価を引き下げた。
規模別でみると、約8割は従業員数10人未満の事業者で、小規模なほど経営が苦しい実態が浮かぶ。同社の後藤賢治課長は「地方の介護は、規模の比較的小さい事業者で支えられている。サービスの空白地域を作らないためにも、国は事業者同士の協働化や再編を後押しする必要がある」と話す。
厚労省の調査(23年10月現在)では、全国で介護サービスを行う事業所は、訪問介護は3万6905か所、デイサービスは2万4577か所ある。事業者が倒産したとしても、他の事業者が代わりにサービスを提供できることから利用者への影響は限定的とみられる。